お酒を飲んでいることで、大けがをしたときの死亡率が低下?
どうしてかは、分かりません。けれども、統計的に事故などで重傷を負った人たちの中で、アルコールの血中濃度がある程度高い場合に、心臓や腎臓に関連する合併症を起こす割合が低く、死亡率も低いという不思議な結果が発表されました。
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これは2000~2009年の間で、アメリカのイリノイ州の病院に記録のあった84,974人分のけがをした人のデータを分析した結果、明らかになったものです。
全体では、3.2%が死亡しました。死亡した人たちの中で、合併症を起こしていた人は、43.2%いたとされています。合併症を起こした人、起こさなかった人を比較すると、死亡率は10.3%、2.1%と大きく開きが出ており、合併症を起こすことで生命を脅かされるリスクが高くなることが分かりました。
心臓関連で23.5%、腎臓関連で30%発生率が低下
さて、お酒を飲んでいた人たちと、飲んでいなかった人たちの合併症の発生について見てみると、お酒を飲んでいた人たちの間で、心臓関連で23.5%、腎臓関連で30%発生率が低くなっていたのです。
アルコールの代謝が影響するのか、血中濃度が影響するのかなど、様々な考察が寄せられているものの、この仕組みについては、まだ明らかになっていません。
飲酒は事故やけがに結びつきやすいと考えられることが多いものですが、命を守る働きが見つかったことに専門家も首をひねりつつも、強い関心を持っている様子です。どのようなメカニズムなのか、解明される日が楽しみですね。(唐土 ミツル)
▼外部リンク
・Complications associated with blood alcohol concentration following injury
・Alcohol may protect trauma patients from later complications