■大谷氏(慶應大教授)らが調査
最大手のインターネットオークションサイト「ヤフオク!」に、多数の医薬品が違法に出品され、その監視・削除体制は十分ではないことが、大谷壽一氏(慶應義塾大学薬学部臨床薬学講座教授)らの調査で明らかになった。大谷氏らは「一般消費者への啓発の強化や、サイト運営者に対して公的団体などから監視強化を要請する必要がある」としている。
大谷氏らは今年5月15日から6月20日まで「ヤフオク!」の出品商品の中から、違法に出品された医薬品を検索した。医療用医薬品や一般用医薬品であることが明らかなもの、隠語などを用いているが医薬品であると強く疑われる商品を抽出。海外製品と思われる商品は解析から除外した。
その結果、違法に出品された医薬品は106件、医薬品であると強く疑われる商品は34件で、合計140件の違反商品を抽出した。
その内訳は、医療用医薬品は85件、一般用医薬品は39件だった。剤形別に見た内訳は、外用剤が76%(貼付剤38%、軟膏剤21%など)と多く、内用剤は24%を占めていた。薬効分類では「鎮痛、鎮痒、収斂、消炎」が46%と最多。漢方製剤12%、外皮用殺菌消毒剤9%、血液凝固阻止剤7%、痔疾用剤6%、下剤・浣腸剤5%と続いた。
大谷氏らはさらに、運営者の監視、削除体制が十分に機能しているかどうかを検証するため、140件の違反商品について、運営者側に違反商品申告を行った。その申告は出品者にも通知され、出品が取り下げられる場合がある。
医薬品であることが明らかな違反商品106件について、違法性に基づき違反商品申告を行ったところ、運営者によって削除されたのは26%、出品者によって取り下げられたのは17%にとどまり、35%は落札された。
また、「肌色薄型テープ(モ)40mg」「肌色冷感シートLサイズ7枚入7パック」など隠語などを用いているが医薬品であると強く疑われる商品34件について、説明不十分として違反商品申告を行ったところ、運営者による削除は3%、出品者による取り下げは21%にとどまり、56%は落札された。
この調査結果から大谷氏らは「健康被害を生じる危険性のある医薬品の出品など、インターネットオークションにおける違法出品は看破できない状況。オークション運営者による監視や削除体制は不十分である」と強調。「一般消費者に対して、インターネットオークションで医薬品を売買してはいけない旨の啓発を強化する必要がある。運営者に対して、公的団体などから一層の監視強化を申し入れる必要がある」としている。