小児への接種で、高齢者の肺炎球菌感染症も減少した調査も
ファイザー株式会社は7月8日、プレスセミナー「肺炎球菌による感染症は、小児も成人もワクチンで予防~肺炎球菌結合型枠地の特徴とは~」を開催した。同セミナーは、同社の沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン「プレベナー13(R)」が、6月20日に高齢者に対する肺炎球菌による感染症の予防の効果・効能の追加承認を取得したことを受け、開催されたもの。
千葉大学医学部付属病院 感染症管理治療部の石和田稔彦講師が「肺炎球菌結合型ワクチン導入後の日本における疫学と課題」、川崎医科大学付属川崎病院 内科の宮下修行准教授が「ストップ!肺炎 肺炎球菌結合型ワクチン導入による予防の新時代」と題し、それぞれ講演した。
千葉大学医学部附属病院 感染症管理治療部
石和田稔彦 講師
肺炎球菌のワクチンを接種すると、集団免疫効果が期待できると石和田氏は言う。「米国で行われた調査によると、高齢の女性では年末年始の時期に、重傷の肺炎球菌感染症が増加するといいます。クリスマスに子ども(孫)と接触し、感染が増加するのですが、子どもに対して肺炎球菌のワクチンを接種した後、ピークが下がったというデータが出ています」(石和田氏)
また、7価のワクチンが小児に適用された後、対応する型による肺炎球菌感染症が対象の小児では94%減少、摂取していない高齢者でも65%の減少が認められたことから、集団免疫効果の重要性がうかがえる。
肺炎にかかる可能性、93%が「感じていない」
ファイザーが行った「『65歳からの健康』意識調査」では、「いま、肺炎にかかる可能性を感じていますか」との問いに、対象全体の93%が「あまり感じていない・感じていない」と回答した。宮下氏は「専門医ならば65歳以上の人は肺炎になりやすいということを知っていますが、65歳以上の人たちは、そう思っていません。医者と一般の方との間にギャップがあるということです」と語った。
川崎医科大学附属川崎病院 内科
宮下修行 准教授
また、「肺炎球菌の予防ワクチンがあることをご存知ですか」という問いに対して、65歳では39.5%、70歳で51.3%が「知っている」と回答したが「受けたことのある人」は65歳で3%、70歳では14%にとどまった。さらに接種したことが無い人に「ワクチンの接種をいつ受けたいか」聞いたところ、65歳では「5年以上先」が41%、「受けなくても良い」が26%にものぼった。「肺炎をそう怖く思っていないというのが一般の方の意識と認識しています」(宮下先生)
しかし、肺炎は日本人の死因としてがん・心疾患に次いで第3位であり、年間約12万人が肺炎によって死亡、うち96.8%が65歳以上の高齢者である。高齢者で増加する市中肺炎で入院した患者の原因菌として最も多いのは肺炎球菌で、約30%を占めることからも、ワクチン接種による肺炎予防の重要性は増している。今後、肺炎のリスク、ワクチンの重要性を広く一般に認知してもらうことが、超高齢社会を迎えた日本において求められているのではないだろうか。(QLifePro編集部)
▼外部リンク
・ファイザー株式会社 おとなの肺炎球菌感染症.jp