日本で唯一の多剤耐性肺結核の薬剤として
大塚製薬株式会社は7月4日、「デルティバ(R)錠50mg(一般名:デラマニド)」について多剤耐性肺結核の適応で承認取得したことを発表した。日本における抗結核薬の新薬は約40年ぶりであり、また唯一の多剤耐性肺結核の薬剤となる。
画像はwikiメディアより引用
デルティバは、大塚製薬が創薬した抗結核薬。結核菌の細胞壁を構成しているミコール酸の生成を阻害し、強い殺菌効果を有する。とくに結核治療薬の第一選択肢であるイソニアジドおよびリファンピシンに対して耐性を獲得した結核菌種(多剤耐性結核)に対し、強い効果を示すという。なお、4月には欧州委員会より販売承認を取得している。
日本には現在でも約2万人の結核患者がおり、先進諸国のなかでは高い水準となっている。中でも多剤耐性結核は根治が難しく、治癒率は40~70%で過去10年間向上していない。入院が長期化し死に至ることも少なくないなど、旧来の薬剤治療では効果が不十分であるため、新薬が強く望まれていた。
標準治療との併用で結核菌陰性化率が上昇、死亡率低下も
世界9か国217施設で実施された臨床試験において、多剤耐性結核の標準治療にデルティバ100mgを1日2回併用した超多剤耐性結核を含む患者で、2か月後の喀痰中の結核菌陰性化率は45.4%であり、標準治療にプラセボを併用した患者での陰性化率29.6%と比較し、有意に上昇したことが認められたという。また、多剤耐性結核の標準治療にデルティバを6か月以上併用した場合は、多剤耐性結核、超多剤耐性結核の両方に対して死亡率を低下させ長期的な治療効果の改善を示したという。
なお、デルティバ群とプラセボ群の副作用は、心電図でのQT延長以外では同程度、QT延長は、デルティバ100mgを1日2回投与した群では9.9%、プラセボ群での3.8%と比べ若干多くみられたが、立ちくらみや不整脈は認められなかったとしている。(小林 周)
▼外部リンク
・大塚製薬株式会社 プレスリリース