新規治療薬の開発・承認が待たれていた悪性黒色腫
小野薬品工業株式会社は7月4日、ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体「オプジーボ(R)点滴静注20mg、100mg(一般名:ニボルマブ(遺伝子組換え))」について、根治切除不能な悪性黒色腫を適応とする製造販売承認を取得したと発表した。
画像はwikiメディアより引用
外科手術による切除が不能な悪性黒色腫患者の予後は極めて悪く、かつこれまでそれを有意に改善する薬剤療法が存在しなかったことから、新規治療薬の開発・承認が待たれていた。
PD-1標的薬として世界初の承認取得
オプジーボは、2005年5月に小野薬品と米メダレックス社が締結した共同研究契約に基づき創製されたヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体。メダレックス社はその後2009年にブリストル・マイヤーズスクイブ(BMY社)に買収され、同抗体の北米における開発・商業化権はBMY社に継承されている。小野薬品は、2011年9月にBMY社と戦略的ライセンス契約を締結し、オプジーボについて北米以外の地域のうち、日本・韓国・台湾における開発・商業化権を留保し、それ以外の全世界における独占的開発・商業化権をBMY社に供与した。
リンパ球表面にある受容体の一種であるPD-1は、生体において活性化したリンパ球を抑制するシステムに関与していることが知られている。がん細胞は、このシステムを利用して免疫反応から逃れていると考えられており、オプジーボはこのリンパ球を抑制するPD-1の働きを抑制することで、免疫反応を亢進させ、腫瘍に対する有効性を発揮するという。今回の承認により、オプジーボはPD-1を標的とする治療薬として、世界で初めて製造販売承認を取得した薬剤となった。
なお、国内での治験症例が極めて限られていることから、承認条件に従い、製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでは、全症例での使用成績調査を実施し、安全性および有効性に関する臨床データを収集、小野薬品が同剤の適正使用に必要な措置を講じていくとしている。(紫音 裕)
▼外部リンク
・小野薬品工業株式会社 プレスリリース