JAK経路を阻害、脾腫の縮小やサイトカインの産生抑制
ノバルティス ファーマ株式会社は7月4日、骨髄線維症の治療薬として「ジャカビ(R)錠5mg(一般名:ルキソリチニブ)」について、同日付で製造販売承認を取得したと発表した。同剤は、ヤヌスキナーゼ(JAK)と呼ばれる酵素を阻害する働きを持つJAK阻害剤で、JAK1およびJAK2に高い選択性を有している。
この画像はイメージです
骨髄線維症は、造血組織である骨髄が線維化することで、正常な血液の産生が妨げられる進行性の血液がん。国内での発症率は10万人あたり約0.2人、現在の有病者数は約1,500人と推測され、厚生労働省の難治性疾患克服研究事業の対象にも指定されている希少疾患である。
骨髄線維症の病因は十分には解明されていないが、JAK経路の恒常的な活性化が大きく関わっていると考えられている。ジャカビ錠は遺伝子変異の有無に関わらずこのJAK経路を阻害することで、脾腫の縮小やサイトカインの産生抑制、骨髄線維症患者のQOL低下の主な原因である諸症状の改善が期待できるという。
全症例を対象とした使用成績調査を実施
骨髄線維症に対するジャカビの有効性と安全性は、COMFORT-1およびCOMFORT-2国際共同第3相臨床試験と、アジア国際共同第2相臨床試験の結果で確認されている。
2本の第3臨床試験ではプラセボ群、既存治療群に対して有意に脾腫を縮小し、またプラセボ群と比較して、骨髄線維症に伴う臨床症状を改善することが確認されたという。また、アジア国際共同第2相臨床試験においても、既存治療群と比較して、脾腫の縮小が見られた患者の割合が同剤投与群で有意に高いことが示されたとしている。
国内承認にあたっては、「国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが蓄積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること」が承認条件とされている。
同剤は、EU、北米、アジアや中南米、南米の数カ国を含む50か国以上で承認されており、日本では、2011年9月に厚生労働省より、予定される効能・効果を「骨髄線維症」として希少疾病用医薬品の指定を取得している。現在は、骨髄線維症の効能に加えて、真性多血症を対象に国際共同第3相臨床試験を実施中であるとしている。(浅見園子)
▼外部リンク
・ノバルティス ファーマ株式会社 プレスリリース