MRI追加検査と認知心理検査を実施
東北大学東北メディカル・メガバンク機構は6月26日、東北メディカル・メガバンク棟内の地域支援仙台センターにおいて、「脳と心の健康調査」を7月24日より開始すると発表した。
画像はプレスリリースより
この調査は、生涯健康な脳と認知力を保つため、遺伝要因や生活習慣がどのように脳及び認知機能、心の状態などに影響するのか明らかにすることを目的に実施するもの。三世代コホート調査または地域住民コホート調査に参加し、宮城県内7カ所の地域支援センターにおいて詳細な健康調査を受けた、MRI追加検査を希望する20歳以上の人を対象とする。検査人数は年間数千人、延べ数万人を予定しているという。
MRI検査データを認知・生活機能のバイオマーカーとして調査に組み込む
MRI追加検査では、頭部と腰から膝にかけての撮像を行い、得られた検査解析結果は認知機能や運動機能の研究に用いるほか、被験者には、脳の萎縮の程度や梗塞、腫瘍などの異常所見がないか医師が確認したうえで、脳の各部体積などのデータを返すという。
異常が認められた被験者には、健康上の利益を考えて速やかに知らせ、医療機関の受診を勧めることがあるとしている。ただし、病院における通常のMRI検査より診断精度が劣る場合があるため、脳ドックなどの代替にはならないという。
撮影は、最新鋭の高解像度、超高磁場3.0テスラのMRI装置を用いる。MPRAGE法、脳拡散強調画像法、3D FLAIRE法、MRアンギオグラフィーなどさまざまな撮像方法を取り入れることで、脳灰白質/白質体積、脳白質繊維束、脳白質病変、脳血管の走行評価などが行える。またpCASLで断続的にパルス照射することで、造影剤を用いずに鮮明な血流画像を得ることもできるという。大腿部のMRI検査では、加齢に伴う減少が認知力低下のリスク要因のひとつである可能性があるとみられている大腿部の筋肉量を評価する。
こうしたMR画像からのデータを、認知及び生活機能のバイオマーカーとしてコホート調査に組み込み、大規模なデータベースの構築を目指す。これにより、震災後の増加や悪化が懸念されるPTSDやうつ病などの精神疾患、高血圧や糖尿病、肥満などの生活習慣病の発症及びその経過、さらには長期的認知機能の低下への影響をみていくという。同機構では、被災地における脳及び認知機能の観点からみた個別化予防、個別化医療の確立を目指していきたいとしている。(紫音 裕)
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・東北大学 プレスリリース