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京大 ラットで細胞移植による糖尿病治療に成功

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2014年06月30日 PM03:30

免疫反応が起きない特定部位の作成成功で移植治療にも成功

京都大学は6月19日、岩田博夫再生医科学研究所教授らの研究グループが糖尿病ACIラットにより、移植細胞などへの免疫反応が起きない免疫特典部位を作成し、この部位へ移植したF344ラット膵島を生着させて、糖尿病を治療することに成功したと発表した。


画像はプレスリリースより

近年、インスリン分泌細胞の移植によるインスリン依存性糖尿病患者の治療が試みられているが、定着させるには多くの困難がある。とくに、移植細胞を拒絶反応や自己免疫反応から保護するため、免疫抑制剤の投与が必要であり、その副作用が懸念されること、移植部位が深部の重要臓器である肝臓や腎臓で、問題発生時に膵島の除去が困難であること、膵島の提供者が少なく治療を施せる患者数はごく限られていること、などが主な課題点となっていた。

免疫反応が起きない免疫特典部位の作成に成功

同研究グループは、まず糖尿病ACIラットの皮下に、塩基性繊維芽細胞増殖因子を含むアガロースロッドを埋め込むことで、移植された細胞や組織片への免疫反応が起きない免疫特典部位を作成することに成功した。

この部位に、インスリン分泌組織であるF344ラット膵島を移植したところ、免疫抑制剤の投与無しで生着し、100日を超える観察期間中で、血糖値が正常化した。一方、膵島移植の臨床と同様に、経門脈的に肝臓に膵島を移植すると、血糖値は一時的に正常化するものの、移植後10日前後で再び高血糖に戻ってしまったという。

膵島の提供者問題はiPS細胞からの分化誘導で

今回の方法により、ラットにおいて免疫抑制剤の投与を行うことなく、細胞移植での糖尿病治療を実現することができた。また皮下移植であるため、万が一の際には容易に取り除くこともでき、これまで課題とされてきた、大きな2点が乗り越えられる見込みとなった。

残る3点目の提供者不足による膵島の確保が困難である点については、現在ヒトiPS細胞から高効率で分化誘導が可能になりつつあり、近い将来、大量の膵島を確保できる技術が確立されると見込んでいるという。(紫音 裕)

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