液体と半固形状のメリット・デメリットを可変型で解決
株式会社カネカは6月20日、摂取時には液体でありながら、胃の中では半固形状になる、新たな粘度可変型流動食を開発したと発表した。開発した粘度可変型流動食は、テルモ株式会社に販売委託し、6月末にも販売・提供を開始するという。
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流動食には、液体タイプと半固形状タイプがあるが、液体タイプの場合、摂取しやすいというメリットがある一方、食道を逆流して気管に入ることで誤嚥性肺炎を引き起こしたり、下痢を起こしたりすることがあるなどのデメリットが存在する。
また半固形状タイプでは、誤嚥性肺炎や下痢の発現頻度を下げるといわれているが、胃ろうと比べて管の細い経鼻経管による摂取では用いることができないという問題がある。粘度可変型流動食は、こうしたそれぞれのメリット・デメリットを踏まえ、両者の良さを最大限に活かすかたちで設計・開発されたという。
アルギン酸塩が酸性化でゲル化する特徴を応用
開発に際しては、カネカが培ってきた食品およびライフサイエンス技術を結集し、アルギン酸塩が酸性化でゲル化する特徴に着目し、これを応用。摂取時は液体で、胃に入りpHが低下すると粘度が上昇して、半固形状になるものとした。
販売を担当するテルモは、国内半固形流動食市場で高いシェアを持つが、事業拡大・強化のためさらなる製品拡充を目指しており、この粘度可変型流動食を開発したカネカとニーズが一致したことから、今年4月に売買契約を締結していた。契約に基づき、開発から製品供給はカネカが、販売はテルモが行っていくとしている。
流動食市場は2010年度で640億円と推定されており、さらに年率10%前後で成長を続けている。カネカは2016年、この製品で売上高6億円を目指す方針だ。(紫音 裕)
▼外部リンク
・株式会社カネカ ニュースリリース