電子データ提出の対象となるのは、医療用医薬品で、配合剤や類似処方医療用配合剤、生物製剤なども含む。
対象となる資料の範囲は、原則として、承認申請時に申請者が評価資料として提出する資料のうち、一般的に有効性、安全性、用法・用量の主要な根拠になると考えられる全ての第II相試験および第III相試験の成績に関するもの。
また、第I相試験および臨床薬理試験のうち、▽抗悪性腫瘍剤での第I相試験▽日本人と外国人の双方に対して実施された第I相試験(国際共同試験やブリッジング試験の場合など)▽ICH‐E14ガイドラインに基づくQT/QTc試験――についても、被験者ごとの電子データでの提出を求める。
電子データの提出は、「CDISC」に準拠する。CDISC標準への適合性については、申請者の責任で担保する必要がある。また、臨床薬理領域の解析用データについては、申請者の解析データ作成における実態を踏まえ、CDISC標準以外の規格に基づく提出についても検討しており、詳細は別途示す。
個別の試験データは、CDISCが提唱している申請臨床試験データモデルのStudy Data Tabulation Model(SDTM)を用い、変数等の定義ファイルと共に提出する。
医薬品医療機器総合機構(PMDA)において、申請者が実施した解析結果を確認するため、電子データを提出する場合は、原則として、同時に検証的試験の主要評価項目に対する主要解析のプログラム提出を求める。
臨床試験データの電子的提出を求めることに伴い、添付資料の提出方法はeCTDによることを原則とする。eCTDでの提出を求める対象や範囲、提出方法、時期、個別の電子データをeCTDのどのフォルダに格納するかなどの具体的事項等については、別途、通知するとした。
承認申請時の電子データ提出に関しては、個々に判断すべき事項も多く、承認審査を円滑に進めるため、今後、PMDAに新設される予定の「申請電子データ提出計画相談(仮称)」で、承認申請予定の個別項目ごとに、承認申請前の段階で相談を行うことが望ましいとした。
電子データの提出開始時期は、16年度以降の別途、通知で定める日以降に承認申請を行う品目を対象に電子データの提出を求めるが、一定の経過措置期間(2年程度を想定)を設ける。経過措置期間中は、必ずしも電子データの提出を求めないが、可及的速やかに全ての対象品目において電子データの提出を求めたい考えを示した。
また、厚労省は同日付で電子データ提出に関する質疑応答集(Q&A)をまとめた。Q&Aでは、電子データ提出の対象に「再生医療等製品」は含まないことや、既にCDISC標準に基づく電子データを過去の承認申請においてPMDAに提出している場合は、再度、同一の電子データの提出が不要となることを明確化した。
CDISC標準が求められている臨床試験の電子データについては、必ずしも治験を実施する段階からCDISC標準を求めるものではないが、前向きに検討することが望ましいとの考えを示した。