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新ガイドラインによって変化する機能性ディスペプシアの診断と治療

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2014年06月24日 PM04:41

FD診療ガイドラインが発表

ゼリア新薬工業株式会社とアステラス製薬株式会社は6月6日、(Functional Dyspepsia:)の診療ガイドライン2014年版が発表されたことを受け、FD最新治療についてのセミナーを開催した。


兵庫医科大学 内化学消化管科主任教授 三輪洋人氏

FDは内視鏡検査などで異常が発見されないにも関わらず、食後膨満感や早期満腹感、心窩部痛、心窩部灼熱感といった不快な症状が慢性的に続く疾患。しかし、この疾患は検査を行っても明らかな異常が認められないため、正確に診断されないケースが多かったという。

4月に日本消化器病学会が発表した「機能性消化管疾患診療ガイドライン2014-機能性ディスペプシア(FD)」では、63個のクリニカルクエスチョン(CQ)とそれに対するステートメントがまとめられている。また、エビデンスの評価方法についてはGRADEシステムを用い、エビデンスの質と推奨の強さを評価。「日本全国どこでも標準的な診療が受けられるようにガイドラインを作成した。世界的にみても、現時点でもっとも信憑性のあるガイドラインができたのではないかと思っている」と登壇した三輪洋人氏(兵庫医科大学 内化学 主任教授)は語り、新ガイドラインの改訂ポイントを説明した。

診断基準をRomeIIIから日本独自のものに

これまでFDの診断基準にはRomeIIIが用いられてきたが、日本国内ではそれに合致しないケースが多数例あり、診断基準が日本の実情と合っていないことが問題視されてきた。そのため新ガイドラインでは、より実臨床にあった診断基準として、「心窩部や胃もたれなどの心窩部を中心とする腹部症状」があり、それが「慢性的」である場合、FDと診断することとした。

診断と治療のフローチャートは、内科医などのかかりつけ医でもFD診断と治療を行えるよう、専門医向けとは別にプライマリケア医用を作成。現在、FD診断は内視鏡検査などによる除外診断が必須だが、内視鏡検査がすぐに行えない環境でも、器質的疾患を疑わせる警告徴候のない場合は、FD疑いとして初期治療を開始するといった選択肢をプライマリケア医向けのフローチャートでは示している。

プラセボに対し明らかな有意差が出たアコファイド

FD治療薬については、初期治療に酸分泌抑制薬と消化管運動機能改善薬が、二次治療として、漢方薬と抗うつ薬、抗不安薬が推奨されている。三輪氏は、消化管運動機能改善薬の有効性に関するCQの解説にアコファイド(一般名:アコチアミド塩酸塩水和物錠)の有効性が挙げられていることに触れ、日本国内で実施された同剤の第3相比較臨床試験を紹介した。

RomeIII基準のFD患者を対象として行われた同試験では、「被験者の印象の改善率」「食後膨満感、上腹部膨満感及び早期満腹感の3症状すべての消失率」において、プラセボに対し明らかな有意差が示されている。「これまでFD治療薬については多くの臨床試験が行われているが、プラセボに対してここまで明らかに有意差が出た薬はなかった」(三輪氏)

また、三輪氏は、FDは患者数が非常に多く、患者のQOLや生産性を下げる重大な疾患であり、今回のガイドライン発行をきっかけとして早期にFDの診療方法が浸透し、1人でも多くの患者の悩みが解決することが重要と語った。(

▼外部リンク
アステラス製薬株式会社
ゼリア新薬工業株式会社

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