企画段階から学会発表まで一貫した関与を認定
武田薬品工業株式会社は6月20日、高血圧症治療剤「ブロプレス錠(一般名:カンデサルタン シレキセチル)」に関する臨床研究(CASE-J試験)について、第三者機関(ジョーンズ・デイ法律事務所)が行った調査報告の内容を公表した。
「調査報告書(公表版)」表紙を引用
公表された調査報告書では、「武田薬品がブロプレスの付加価値最大化と売上最大化をはかるという目的のために、その企画段階から学会発表まで一貫して関与」していたことを認定。「第三者から懸念が表明されかねないものであった」としている。一方、同社が作成・使用したCASE-J試験を利用した販促資材について、「試験データの改ざんの事実は確認されなかったことも踏まえ、薬事法違反に該当するとは考えなかった」とした。
学会発表時のグラフを掲載した資材を用いたプロモーション活動については、同社は日本製薬工業協会から、プロモーションコード違反として、2014年4月より6カ月間の副会長としての役職活動停止措置を受けていることに加え、すでに、該当資材の廃棄徹底および増刷を不可とするシステム上の対応などを実施している。
審査体制ならびに寄付金の評価・審査体制の強化
同社も、今回のプロモーション活動について、
当時、このCASE-J試験という日本初の大規模臨床研究を完遂し、日本人を対象としたエビデンスをその後の高血圧治療に活かすことが、CASE-J試験に携わった研究者の方々と当社との共通の目標であり、その意味で、これを確実にまた強力に推進したいという思いが、研究者の方々と当社の共通のものとして存在していました。
その一方で、当時、日本人のエビデンスとして医療関係者から注目を浴びていたCASE-J試験の結果を、当社として最大限、ブロプレスのプロモーションに活用したいという動機があり、組織レベルでの関与があったことが、今回の調査からも明らかになっております。(武田薬品工業株式会社 リリースより引用)
その一方で、当時、日本人のエビデンスとして医療関係者から注目を浴びていたCASE-J試験の結果を、当社として最大限、ブロプレスのプロモーションに活用したいという動機があり、組織レベルでの関与があったことが、今回の調査からも明らかになっております。(武田薬品工業株式会社 リリースより引用)
と組織レベルの関与を認め、再発防止の取り組みとして、プロモーション資材の社内審査機関に、法務的観点、医師の視点で審査を行えるメンバーを新たに加え、審査体制を強化することに加え、寄付金を評価・審査する委員会の体制の強化を発表した。
同社リリースでは最後に、
当社は、これら「CASE-J試験」に関する一連の事象を通じて、患者様、医療関係者の皆様をはじめとする関係者の方々に大変なご心配をおかけしておりますことを、当社として深く反省し、あらためて心よりお詫び申しあげます。今回のようなことが二度と起こらないよう、従業員一人ひとりが高い倫理観をもって日々の活動に邁進してまいります。(同リリースより引用)
と述べている。(QLifePro編集部)