■血糖測定に水道設備設置を
厚生労働省医政局指導課は、薬局等で血糖自己測定等の簡易検査を行う場合に参照する「検体測定室に関するガイドライン」の疑義解釈集(Q&A)をまとめ、都道府県等の担当者に通知した。薬局で薬剤師が受検者の手指に触れて採血を手伝うことはできないとの考えを示したほか、血糖自己測定器を使う場合は、受検者が穿刺前に手を洗うことができるよう水道設備を設ける必要があるなどとした。
検体測定室でのHbA1cの測定等に当たって、受検者から徴取する承諾書の様式については、「任意」としつつ、測定の申込書に「測定に関する説明事項(チェックボックスを付記)」や「受検者が説明内容に同意するか否か」を明記できる欄を設けるよう求めた。
検体測定室での血糖測定等について、「受検者が検体を採取し、測定結果を受検者が判断することで、健康管理の一助になるようなサービス」と定義し、検体測定室での測定は、健康診断等の代わりになるものではないとの考えを示した。
既往歴が明らかでない受検者、サービスの提供を行うべきか判断に迷う場合は、健康への重大な影響を防止する観点から、「サービスの提供を行わない」よう求めた。
また、出血性疾患の既往歴、抗血栓薬の服用があった場合もサービスの提供を行わないよう注意を促している。
既往歴や服用薬の確認に当たっては、受検者がチェックした後に運営責任者が確認する形で行うとし、「医療機関で行う問診のような形式では行わない」よう求め、あくまでも受検者が行う原則を強調した。
薬局等で受検者が自分で採血できない場合、薬剤師等の事業者は、手指に触れて血液の採取を手伝うことはできないとの考えを示し、手伝った場合は医師法等に抵触する可能性があるとの見解を示した。
測定項目をめぐっては、検体測定室で行える測定項目として、AST(GOT)、ALT(GPT)、γ‐GT(γ‐GTP)、中性脂肪(TG)、HDLコレステロール、LDLコレステロール、血糖、HbA1cの8項目を挙げた。
測定結果の報告に当たっては、検体測定室で行われたことが分かるように記載し、「異常なし」等と受検者の健康状態を評価しないよう注意を促した。
また、検体測定室の環境について、ガイドラインでは個室等により他の場所と区別することとされているが、個室によるスペースの確保が難しい場合は、「清潔が保持できるような広さ、高さを考慮した衝立で区別されている必要がある」との考えを示した。
検体測定室で血糖自己測定器を使用する場合、医療機器の添付文書の重要な基本的注意として「穿刺前に必ず流水でよく手を洗うこと」とされていることについては、添付文書に従った環境を整える必要があるとの考えを示し、水道設備を設ける必要があるとの見解を示した。
感染防止委員会の設置は、人員数が少なく、組織的な委員会の設置が困難な場合でも、「運営責任者は自ら率先して感染防止に取り組む」ことを求めた。
さらに、受検者の急変に備えて、一時的に安静を保つための簡易ベッド(毛布、枕)や飲料水等を常備し、医療機関への通報体制を整備すること等のほか、AEDの配備も考慮するよう求めている。