多発性硬化症を対象に開発進める薬剤で契約解消
小野薬品工業株式会社は6月17日、ドイツのMerck KGaA(メルク社)との間で締結していた「ONO-4641」に関するライセンス契約を解消することで合意したことを発表した。
画像はwikiメディアより引用
このライセンス契約は、2011年10月3日付で締結されていたもの。ONO-4641は、小野薬品が創製したスフィンゴシン-1-リン酸(S1P)受容体作動薬で、多発性硬化症を対象に両社で開発を進めていた。契約では、メルク社が日本、韓国、台湾を除くグローバルでの同剤に関する独占的な開発・販売権を保有するとされていた。
第3相試験の長期実施の必要性などを鑑み解消で合意
今回ライセンス契約を解消するに至った経緯としては、再発寛解型多発性硬化症を対象とした第2相国際共同臨床試験において、主要評価項目であるMRI検査による累積病巣数の減少を達成することができたものの、多発性硬化症治療薬の市場環境が契約時からは大きく変化したこと、また大規模な第3相臨床試験を長期にわたり実施する必要があると見込まれることと、それに伴う承認申請時期の遅延などを総合的に判断した結果であるとの説明がなされている。
メルク社は、このライセンス契約解消で、供与されていた権利を小野薬品に返還する。小野薬品は、ONO-4641の開発について、今後あらためて検討していくとしている。(紫音 裕)
▼外部リンク
・小野薬品工業株式会社 プレスリリース