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国立遺伝学研究所 マウスの性質の違う過剰な攻撃行動には異なる遺伝子が関与

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2014年06月20日 AM09:00

マウスのオスに関する研究で判明

マウス開発研究室・小出研究室の高橋阿貴助教らは6月13日、野生由来マウス系統のMSMのオスにおける過剰な攻撃行動について、その調節に関わる遺伝子が少なくとも2つの染色体に存在し、それぞれの遺伝子が異なった性質の攻撃行動に関与していることを突き止めたと発表した。この研究成果は脳科学専門誌「Frontiers in Neuroscience」に6月11日付で掲載されている。


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日本の三島市で捕獲された野生マウスを系統化したMSM系統のオスは、高い攻撃性を示し、ときに兄弟や交配相手のメスを殺してしまうことがあるという。こうした過剰な攻撃性は、実験用マウスではほとんどみられない。

そこで研究チームは、このMSMの高い攻撃性に関わる遺伝子座を明らかにすべく、作出されたコンソミックマウス系統群を用い、順遺伝学的手法で解析を実施した。

4番、15番染色体上に関与遺伝子

解析の結果、4番染色体と15番染色体上に、MSMの高い攻撃性に関与する遺伝子が存在していることが分かったという。MSM型で4番染色体をもつコンソミック系統は、攻撃をいったん始めると、異常に高いかみつき行動や追いまわしを行い、交配相手のメスを負傷させるケースもみられた。

一方、MSM型の15番染色体をもつコンソミック系統は、多くの個体が攻撃を開始しやすい傾向にあるものの、攻撃を始めてもその頻度はさほど高くないという特徴があったという。

過剰な攻撃性、セロトニン神経系にも変化

また、攻撃行動には、脳内セロトニンが関与することが多くの研究で報告されているが、このMSMとコンソミックマウス系統の脳内セロトニン関連遺伝子の発現を調べたところ、高い攻撃行動を示すケースでは、セロトニン合成酵素のTph2遺伝子発現が増加しており、やはりセロトニン神経系に変化が生じていることも明らかとなった。

研究チームでは、今回の研究は、攻撃行動の調節に関わる遺伝子がそれぞれ違った性質の攻撃性に関与していることを見出し、その遺伝的基盤の複雑さを示したとし、今後、攻撃行動と遺伝子の関係をより深く理解するための重要な知見をもたらすものであるとしている。(紫音 裕)

▼外部リンク
国立遺伝学研究所 Research Highlights
Genetic mapping of escalated aggression in wild-derived mouse strain MSM/Ms: association with serotonin-related genes

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