胆道がんで国内初
独立行政法人国立がん研究センターは6月6日、胆道がんにおいて国内初となる分子標的薬の開発に向けた多施設共同の臨床研究を開始したと発表した。既に、今年の3月から中央病院と東病院において、患者に対して実際に阻害剤を投与する治験を実施しており、今後、順次関東26施設からさらに全国の施設でも開始する予定だという。
画像はプレスリリースより
胆道がんは膵がんに次いで予後の悪い難治がんであり、国内の年間罹患者約2万人、死亡者数は約1.8万人である。
また、疾患の希少性から大規模な臨床研究が難しく、適応のある抗がん剤も6剤のみだ。さらに、近年承認が相次いでいる分子標的薬も現在までに有効性が示されていないという。
治験の早期実現目指す
同研究は、同センター研究所がんゲノミクス研究分野、柴田龍弘分野長らによる胆道がん(肝内胆管がん)の治療標的となる新たな融合遺伝子FGFR2の発見に基づく臨床研究で、FGFR2融合遺伝子陽性胆道がんの臨床病理学的、分子生物学的特徴を明らかにするための観察研究。
治療標的となる融合遺伝子とは、遺伝子の変化でがんの発生原因と考えられるもの。この研究によって、発がんの仕組みを解明し治療ターゲットとすることで、がんの治療開発につなげることができるとしている。
この研究を基に、胆道がん(肝内胆管がん、肝外胆管がん、胆のうがん、十二指腸乳頭部がん)の患者を対象とした臨床試験の実現を目指すとしている。(浅見園子)
▼外部リンク
独立行政法人国立がん研究センター プレスリリース
http://www.ncc.go.jp/jp/information/