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国立循環器病研究センター 心筋梗塞後の心破裂防止における樹状細胞の役割を解明

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2014年06月11日 AM11:15

心破裂に対して保護的役割

国立循環器病研究センターは6月4日、心筋梗塞後の梗塞組織への樹状細胞浸潤が、心筋梗塞後の梗塞組織治癒過程の促進と関連し、心筋梗塞後の重大な合併症である心破裂に対して保護的役割を果たしている可能性を明らかにしたと発表した。


画像はプレスリリースより

研究成果は、同センター心臓血管内科部門の永井利幸医師、安斉俊久部長、臨床病理科の池田善彦医長、植田初江部長らの合同研究チームによるもので、Journal of American Heart Associationのオンライン版に6月4日掲載された。

新たな治療法の足掛かりに

同センターの安斉部長らはラットを用いた基礎研究により、免疫応答の司令塔と言われている骨髄由来の樹状細胞が心筋梗塞後の心筋組織に浸潤することを2008年に報告しており、また、2012年には、浸潤した樹状細胞の役割を解明するため、樹状細胞を選択的に除去したマウスモデルを開発。心筋組織内に浸潤した樹状細胞が心筋梗塞後の組織治癒過程に悪影響を与える過剰な炎症を抑制するとともに、心不全の発症を抑制することを報告していた。しかしこれまで、心筋梗塞組織への樹状細胞浸潤のヒトにおける役割に関しては明らかになっていなかった。

今回の研究では、急性心筋梗塞で同センターに入院し、院内死亡により剖検が施行された24症例の心筋組織検体について解析。その結果、心破裂を起こさなかった症例では、心破裂を起こした症例と比較して、梗塞心筋組織内への樹状細胞の浸潤が多く認められ、過剰な炎症をもたらす炎症性マクロファージの浸潤が少ないことがわかったという。さらに、梗塞心筋組織内に浸潤する樹状細胞数が増加するにつれて、心筋梗塞後の心破裂に保護的に働く修復性線維化の範囲が広くなっていることも明らかになったという。

同センターは、今回の研究により、急性心筋梗塞後の心筋組織への樹状細胞の浸潤が、過剰な炎症を抑制し、修復性線維化を促進しながら心破裂に対して保護的役割を持つ可能性が示唆されたとし、今後、急性心筋梗塞の予後改善に寄与する新たな治療の開発につながることが期待されるとしている。(浅見園子)

▼外部リンク

国立循環器病研究センター プレスリリース
http://www.ncvc.go.jp/pr/release/006604.html

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