アルツハイマー型認知症を早期に発見することは、難しいものです。なぜならば、加齢による通常の認知機能の低下と、アルツハイマー型認知症による認知機能の低下は、症状が軽い時期ではとても似通っており、これを区別することが困難だったのです。
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このため、アルツハイマー型認知症の診断がついたときには、かなり症状が進行しているということが、ままありました。ところが、アメリカの研究で、簡単な認知機能のテストにより加齢に伴う認知機能の低下と、アルツハイマー型認知症の症状を区別する方法が発見されました。
アルツハイマー型認知症では、脳の海馬がつかさどる、情報同士を結びつける能力が低下することが知られています。たとえば、新しい人と知り合うと、脳の中には、顔と名前の記憶が残されます。次に街で顔を合わせたときに、記憶の中からこれに結びつく名前を探し出す、というのが海馬による情報の結びつけ機能です。
認知機能をテストするには、このような海馬の機能の働きを観察するのです。参加者は、3つに分割した円を見せられます。3つの部分には、それぞれ特徴的なデザインが施されています。この絵はいったん隠され、次に3分割した10個のデザインが異なる円が並んだ画像を見せられます。参加者は、最初に見せられた円と同じデザインのものを選び出すのです。
このテストを実際に行ってみると、若い人よりも、加齢によって認知機能が低下している人の方がスコアが低く、アルツハイマー型認知症の初期の人では、さらにスコアが低くなるという結果になりました。
この方法を使うことで、アルツハイマー型認知症の早期診断、早期治療に役立てることができると期待されています。手軽な方法で、確実な診断ができることは、患者さんへの負担もなく様々なメリットが期待できます。臨床の現場で日常的に使われるようになることが待ち遠しいですね。(唐土 ミツル)
▼外部リンク
Cognitive test can differentiate between Alzheimer’s and normal aging
http://news.illinois.edu/news/14/
Very mild Alzheimer’s disease is characterized by increased sensitivity to mnemonic interference
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24747209