医療関係者の燃え尽き症候群
京都大学は、6月3日、 医学研究科の高橋英彦准教授、鄭志誠研究員らのグループが、機能的MRIを用いて、医療関係者の燃え尽き症候群の兆候を共感に関する脳活動の強さで予測できることが明らかになったと発表した。
画像はプレスリリースより
経験の浅い医療関係者は、ストレスに対応する力を備えないまま仕事に追われ、感情的に疲れてしまい、抑うつ的になりやすい傾向があるといわれている。これらの症状は、医療ミスや、医療従事者の薬物乱用・自殺にまで発展する恐れを秘めており、社会問題ともなりつつある。
仮説を機能的MRIで検証
これまでの研究では、医療関係者における燃え尽き症候群と共感性の関係は、共感性が高すぎると感情的に巻き込まれて、疲れてしまうという仮説があった。また、逆に医療者は共感的でなければと優等生的に振る舞い、疲れてしまうという反対の仮説もあった。
これらの仮説を検証するために、機能的MRIにより現役の看護師達の共感に関わる脳活動を測定。この結果、燃え尽き症状の兆候が強い人ほど、共感に関わる脳活動が弱く、自分の感情をしっかりと自覚して表現する能力が低下しており、営業スマイル的なことを強いられて疲れて燃え尽きになりやすいことが支持された。
プレスリリースでは、
今後この成果は、経験の浅い医療関係者の燃え尽き症候群の予測や予防に関わる教育に貢献し、医療関係者の精神衛生の向上に寄与できるものと期待されます。また、燃え尽き症候群の脳科学的なメカニズムの解明を進め、医療や介護にたずさわる職員に対する燃え尽き症状改善プログラムの開発も目指します。例えば、燃えつき症候群に対処できるスキル獲得の教育の際に、この訓練方法や達成度の客観的な評価方法として脳活動を用いることが考えられます(京大プレスリリースより引用)。
と、コメントされている。(白井蓮)
▼外部リンク
京都大学 プレスリリース
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news6/2014/140603_1.htm