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エーザイ 抗がん剤「レンバチニブ」が放射性ヨウ素治療抵抗性分化型甲状腺がんの無増悪生存期間を改善と発表

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2014年06月10日 PM06:55

臨床第3相試験「SELECT試験」の結果

エーザイ株式会社は5月31日、新規製造の抗がん剤「レンバチニブメシル酸塩」の、放射性ヨウ素治療抵抗性の分化型甲状腺がんを対象とした臨床第3相試験(SELECT試験)の結果を発表した。


画像はwikiメディアより引用

同試験の主要評価項目である無増悪生存期間において、レンバチニブ投与群の中央値が18.3カ月であったのに対して、プラセボ投与群の中央値は3.6カ月であったという。

これにより、レンバチニブ投与群がプラセボ投与群よりも生存期間が延長されたという統計学的結果が示された。また、事前に設定した各部分集団においても、同様の結果が得られたという。

甲状腺がんの約95%を占める分化型甲状腺がん

分化型甲状腺がんは、発生頻度が高く、甲状腺がんの中でも約95%を占めている。中でも、手術または放射性ヨウ素療法での治療が難しい放射性ヨウ素治療抵抗性分化型甲状腺がんは、治療薬が限られている疾患である。

レンバチニブは、血管新生や腫瘍増殖に関わるVEGF受容体など受容体チロシンキナーゼを阻害する、経口投与が可能な新規結合型選択的チロシンキナーゼ阻害剤。日本、米国、欧州の各当局より甲状腺がんに関わる希少疾病用医薬品の指定を受けている。

SELECT試験では、副次評価項目として、奏効率、全生存期間(Overall Survival:OS)および安全性が評価された。完全奏効率は、レンバチニブ投与群が1.5%、プラセボ投与群が0%であったという。また部分奏効率は、レンバチニブ投与群が63.2%に対し、プラセボ投与群は1.5%であったとしている。OSについては、両投与群ともに中央値に達していない。また、同試験により発生した主な有害事象は、高血圧、下痢、食欲減退、体重減少、吐き気などであったという。

同社は、この試験結果を受け、レンバチニブの日本、米国、欧州における承認申請を目下準備中。さらに、レンバチニブに関して、肝細胞がんを対象としたグローバル臨床第3相試験を実施。また、それ以外のがん腫を対象にした複数の臨床第2相試験も行っているという。(白井蓮)

▼外部リンク

エーザイ株式会社 プレスリリース
http://www.eisai.co.jp/news/

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