岡山大学と共同で出願
株式会社スリー・ディー・マトリックス(3Dマトリックス)は5月30日、同社が岡山大学と共同で米国において出願していた、自己組織化ペプチド技術についての膵臓再生を適用とする特許が成立したことを明らかにした。発明名称は「細胞の培養方法および細胞培養物」、特許番号は米国特許第8,697,438号となっている。
画像はwikiメディアより引用
この特許は、自己組織化ペプチドのもと培養した膵島に関するもの。自己組織化ペプチドによる3次元を足場環境として培養することで、生体機能を維持した膵島の有用性が示されているという。
同社は今年2月、膵島の培養方法に関する特許を取得しており、今回の特許はこれを補完する位置づけで、培養方法と細胞培養物の両方に対する権利を保有が明確化したことになる。
再生医療として臨床応用に期待
通常、膵島の培養では平面的な培養面で継代培養を重ねると、細胞の機能が消失してしまう。そのため生体機能を維持した状態での細胞培養は難しく、現在もなお多くの研究が進められている段階にある。
この特許で示す3次元培養法によって培養された膵島は、通常の培養法で培養された膵島に比べて有意に長く生体機能を維持することが確認されており、社会医療法人盛全会 岡山西大寺病院理事長で元岡山大学医学部消化器外科講師の小林直哉博士が、臨床応用に向けた成果を論文や学会で発表している。
この膵島培養技術が確立されれば、糖尿病患者に対する膵島移植に貢献することが可能となり、糖尿病治療の新たな道が開かれることとなる。3Dマトリックスは、再生医療に関し、骨再生・皮膚再生の分野で開発を進めているが、今後この特許を活用してさらなる再生医療領域での研究開発を進め、臓器再生分野にも拡張して有効な医療製品の開発を行っていきたいとしている。(紫音 裕)
▼外部リンク
株式会社スリー・ディー・マトリックス プレスリリース
http://www.3d-matrix.co.jp/dl_file/2014/