■次期改定は“専門・外来”焦点
日本病院薬剤師会の北田光一会長は、今年度の診療報酬改定で「がん患者指導管理料」が新設され、がん専門薬剤師等が評価されたのを契機とし、癌以外の領域への積極的な活動の展開を求めた。また、退院時の薬学的管理指導について「できるだけ実施してほしい」と述べ、次期診療報酬改定において“専門薬剤師”や“薬剤師外来”に対する評価が焦点の一つになると示唆した。5月31日から2日間、仙台市で開かれた日病薬東北ブロック第4回学術大会で講演した。大会のシンポジウムでも、各診療領域における専門性の発揮と専門外来の取り組み例などが示されると共に、地域薬局との連携によるシームレスな患者ケアの必要性も強調された。
北田氏は、昨年の社会保障制度改革国民会議の報告や今春の改定に当たっての日病薬による要望事項と改定結果、答申書附帯意見を示し、改定までの変遷を改めて示した。また、中央社会保険医療協議会の審議に当たって国や日病薬で実施した病棟を中心にした薬剤師業務の調査結果も示し、医師や看護師から「嬉しい評価が得られた」とし、着実な業務の実施とデータ作りの重要性を強調した。
また、「看護師へのアンケート結果で約8割が退院患者への薬剤指導を求めていたが、『退院時の薬学的管理指導について、可能な限り実施すること』とされており、できるだけ実施してほしい」と、次期改定に向けた実績作りを求めた。
一方、医師等から評価が低かった項目にも触れ、「他の事項と関連しているが、薬物療法プロトコルについての提案を協働で作成する。あるいは処方設計がより適切に行われるよう、施設の事情はあるとは思うが、ぜひ実施してもらいたい」と働きかけた。
一方、緩和ケアを含む癌医療の推進の観点から、薬剤師による「がん患者管理指導料」が新設されたことについて、日病薬等によるがん専門薬剤師・認定薬剤師制度の長年の実績が評価されたとの認識を示した上で、「他の分野についても期待している」と述べた。北田氏は癌以外の専門領域においても薬学的視点に基づく判断に対して、期待が高まっているとの認識を示した。
薬剤師の業務が適切に評価されるためには、必要性やどの程度の価値があるかデータやエビデンスで示すことが必要であることを指摘。今回の改定は、第三者に理解してもらえる資料を示せたということがポイントだったと振り返ると共に、エビデンス作りや資料作りに向けての調査への協力を改めて求めた。