アレルギー反応をひきおこす好塩基球
理化学研究所は5月16日、アレルゲンによって発症する喘息が、アレルギーをおこす白血球「好塩基球」と、インターロイキン-4(IL-4)を介した2型自然リンパ球(NH細胞)との共同作業によっておこるという新たなメカニズムを解明したと発表した。
画像はプレスリリースより
これは、理研統合生命医科学研究センターと東京理科大学総合研究機構による共同研究によるもの。同研究結果は、米科学雑誌「Immunity」オンライン版に5月15日付で掲載されている。
喘息症状の原因、ムチンを抑制
近年アレルギーは、IgE抗体を介した肥満細胞やT細胞なしでもおこることが知られるようになった。このことには、好塩基球や免疫システムで働く新しいタイプの自然リンパ球が関係しているとされる。
一方、ダニ抗原に多く含まれるタンパク質分解酵素「システインプロテアーゼ」は、気道内で放出されるインターロイキン-33(IL-33)を介して、自然リンパ球の1つNH細胞を活性化し、喘息のもととなるムチンをつくり出す。
同グループは、好塩基球を持たないマウスと、好塩基球由来のIL-4だけを持たないマウスを使い実験。これらのマウスは、システインプロテアーゼを点鼻投与されても、ムチンの産生がきわめて少なく、喘息症状がかなり抑えられることがわかったという。
これにより好塩基球から生まれるIL-4の重要性が示されたこととなり、アレルゲンでおこる喘息は、好塩基球から生まれるIL-4を介したNH細胞との共同作業によってコントロールされていることが明らかとなったとしている。
これらの研究によって、喘息の発症メカニズムには、好塩基球やNH細胞など新しい免疫細胞が関係していることが示された。今後も、新しい視点に立ったアレルギー治療の開発や治療法の構築が期待される。(白井蓮)
▼外部リンク
理化学研究所 プレスリリース
http://www.riken.jp/pr/press/2014/