医療機関を対象とした医療等分野における番号制度の活用をめぐっては、厚労省検討会が設置され、2012年9月に報告書をまとめているが、今回の研究会では、昨年の法案成立を受けてマイナンバー制度の具体的な制度設計を踏まえつつ、医療分野における番号の必要性や利活用場面を検討していく。
医療情報における番号制度の導入に当たっては、システム環境の整備や個人情報保護、国民的理解が前提になる。そのために、マイナンバー制度の定着、医療情報連携ネットワークの全国展開、個人情報保護法の見直しに向けた議論が必要とされている。
研究会では、番号の考え方や利活用方法について有識者から意見を聴き、具体的な利用例をもとに、利活用事例や安全性と利便性を踏まえた仕組み、マイナンバー制度で構築されるシステムとの関係、利活用に必要な環境等について、議論を進めていく予定。
この日の初会合では、医療分野における番号、符号の活用とマイナンバー制度との関係をどう整理するか議論が相次いだ。
山本隆一委員(東京大学大学院医療経営政策学特任准教授)は、「符号がマイナンバーに結びつくと特定個人情報に当たる。そうすると、医療情報のほとんどが特定個人情報になる」と指摘。個人情報保護法とマイナンバー法の罰則の重さの違いも、どう解釈するか整理が必要と提起した。
森田朗委員(国立社会保障・人口問題研究所長)は「高齢化社会の中、公正で効率的、かつサービスの質を落とさず、国民にどう一番いい医療を提供していくかが最も重要。そのための社会的ツールとして、番号制度が有力という前提で、必要性やメリットの関係で制度を考えていくべき」と指摘。研究会として、法改正を含めた提言をしていくような議論を進めていくべきとの考えを示した。
座長の金子郁容委員(慶應義塾大学政策・メディア研究科教授)は「番号をどこまで結びつけるか、利用例を考えてイメージを持っていきたい」との方向性を示した。