■厚労省、不正防止で
登録販売者試験の不正受験が相次いだことを受け、厚生労働省が受験資格の見直しを検討していることが分かった。現行では、一般用医薬品を販売する店舗で高校卒業以上なら1年間(1カ月の勤務時間が80時間以上)の実務経験を積む必要があるが、見直し案では実務経験の要件を廃止する。実務経験がなくても受験できるようにする代わりに、合格・登録後に店舗の管理者・管理代行者のもとで2年間の実務経験を求める。受験資格や管理者要件の見直しは、省令改正が必要になるため、厚労省は近く改正案に関するパブリックコメントを募集する見通し。
厚労省の見直し案は、▽受験に際しての実務経験要件の廃止▽管理者・管理代行者要件を見直し、過去5年間のうちの2年間の実務経験を求める。それまでの間は、管理者・管理代行者の管理・指導のもとで実務に従事する▽管理者・管理代行者要件を満たす登録販売者と満たさない登録販売者を名札で区分できるようにする▽店舗に登録販売者の勤務経験の記録・保存義務を課すと共に、求めに応じた勤務記録の証明を義務づける――などが柱。
また、登録販売者が店舗の管理者になるための要件も見直す。現行では「登録販売者として3年間の実務経験」となっているが、「登録販売者として過去5年のうちの3年の実務経験」に変更する。
試験に合格して、医薬品販売に関する基本的知識を持った“管理者・管理代行者要件を満たさない登録販売者”が一定期間、管理者の指導のもとで実務経験を確実に積む仕組みに変更することは、専門家の資質を担保し、安全性を高める効果が期待できる。
また、これまでは実務経験を積んだ地域や時期が限定されていなかったため、“数十年前の北海道での実務経験をもって沖縄で受験する”といったケースもあった。
試験を実施する都道府県にとって、地域や時期をまたいだ実務経験の確認作業は煩雑で、スーパーの西友やドラッグストアチェーンのカメガヤなどで問題となった不正証明などにもつながりやすい。
試験で実務経験を積む人数を絞った上で、管理者が責任を持って指導する体制にすれば、実務経験の証明が明確になることが期待され、都道府県の負担軽減につながるといったメリットも見込まれる。
厚労省は、新制度による試験を来年から導入することを想定しており、関係団体に見直し案の説明を行っている。