原因不明の炎症性疾患に新治療薬
武田薬品工業株式会社と、その子会社である武田ファーマシューティカルズUSA Inc.(TPUSA社)は5月21日、成人の中等度から重度の活動期潰瘍性大腸炎およびクローン病治療剤の新規生物学的製剤「Entyvio(TM)」(一般名:vedolizumab)について、米国食品医薬品局(FDA)より承認を取得した、と発表した。
画像はwikiメディアより引用
潰瘍性大腸炎は、主に大腸粘膜に潰瘍やびらんができる非特異性炎症性疾患。クローン病は、口腔から肛門までのあらゆる消化管に慢性肉芽腫性炎症を生じる炎症性疾患。ともに原因不明で、厚生労働省より特定疾患に指定されている。
2つの疾患に対しての評価を同時に行うGEMINI試験を実施
同社は、臨床第3相試験であるGEMINI(TM)試験の結果に基づいてEntyvioの販売承認を申請。GEMINI試験は、世界約40か国で2,700名の患者を対象に、潰瘍性大腸炎とクローン病の評価を同時に行った試験で、対象となったのは、今までの標準的な治療(免疫調整薬、コルチコステロイドなど)を施し、よい結果が得られなかった中等度から重度の活動期潰瘍性大腸炎およびクローン病患者。
米国ノースウェスタン大学Feinberg School of Medicine Digestive Health CenterのStephen B. Hanauer医師は、
だと述べている。
なお同剤は、2014年3月、欧州医薬品庁(EMA)の欧州医薬品評価委員会(CHMP)において、成人の中等度から重度の活動期潰瘍性大腸炎ならびにクローン病について、承認を推奨するという見解が示されており、現在、同社は販売許可を待機中とのことだ。今後、同剤が、潰瘍性大腸炎ならびにクローン病患者に対する有効な治療剤となり、医療現場において広く活用されることが望まれる。
▼外部リンク
武田薬品工業株式会社 プレスリリース
http://www.takeda.co.jp/news/2014/20140521_6574.html