治療選択肢がほとんどない特発性肺線維症
独ベーリンガーインゲルハイムは、2度にわたる第3相国際共同臨床試験において、「ニンテダニブ」が特発性肺線維症(IPF)患者の病勢進行を遅らせる効果が認められたことを明らかにした。この結果は「New England Journal of Medicine」オンライン版に5月18日に掲載された。
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IPFは、肺組織が徐々に瘢痕化し、呼吸機能が低下、最終的には死に至る重い肺線維化疾患。罹患者は、肺機能の低下によって酸素が行き渡らなくなり、息切れや咳が頻発し、身体活動にも支障をきたす。現在のところ有効な治療法はほとんどないといわれている。
第3相国際共同臨床試験での評価
ニンテダニブは、ベーリンガーインゲルハイムがIPFの治療のために開発している低分子チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)。肺線維症発症に関与するとされている増殖因子受容体に対抗する薬剤で、線維化が進行する過程において、シグナル伝達経路を遮断することで呼吸機能の低下を弱め、IPFの進行を抑えると考えられている。
同剤は、第2、3相の国際共同臨床試験において、主要評価項目での達成率が高く、IPF症状の悪化が低減し、急激な進行が抑えられていることが認められたという。また、既存の治療薬プラセボとの比較検討結果もおおむね良好で、努力性肺活量の年間減少率を抑制する効果は、ニンテダニブがプラセボより高いという結果が出たとしている。
なお、同剤は、非小細胞肺がん、卵巣がん、直腸大腸がんおよび肝細胞がんなどの治療薬としても、臨床開発が行われているという。(白井蓮)
▼外部リンク
ベーリンガーインゲルハイム ジャパン株式会社 プレスリリース
http://www.boehringer-ingelheim.jp/2014/