炎症が凝固異常を生じて死に至るメカニズムは不明のままだった
東北大学は5月19日、同大学災害科学国際研究所(大学院医学系研究科感染病態学分野兼務)の服部俊夫教授らのグループが、デングウイルス感染症における炎症と凝固系の相互作用を示すマーカータンパク質を発見したと発表した。
画像はwikiメディアより引用
デング熱は世界で年間5千万人以上が発症するウイルス性感染症で、患者の一部はデング出血熱となり、約2%が死亡に至ることが知られている。しかしこれまで、感染による炎症が血小板減少や血漿漏出などの凝固異常を生じ、ショック死に至るメカニズムは明らかにされていなかった。
回復期は切断されたオステオポンチン濃度が上昇
服部教授らは、マニラのサンラザロ病院に入院したデングウイルス感染症患者の血漿について、オステオポンチン、切断型オステオポンチン、凝固・線溶マーカーとしてのトロンビン-アンチトロンビン3複合体などを測定した。
その結果、急性期においては血中のオステオポンチン濃度が上昇し、回復期においては酵素トロンビンによって切断されたオステオポンチンの血中濃度が上昇することが明らかになったという。
今回の研究成果はテングウイルス感染症における炎症と凝固系の相互作用を示す指標タンパク質として、血中のオステオポンチンが有用であることが明らかにするもので、プレスリリースでは
この発見は、デング出血熱における炎症と凝固の双方が起こる際の動態メカニズムを知る上で重要な所見であり、今後診断・治療への応用が期待されます。(東北大学 プレスリリースより引用)
と述べられている。(小林 周)
▼外部リンク
東北大学 プレスリリース
http://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv