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東北大 生体組織ダメージを反映する新しいバイオマーカーを発見

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2014年05月27日 PM03:00

転移RNAの生体内変化を検知し、病気の早期発見や治療効果判別に

東北大学は5月15日、同大大学院医工学研究科の阿部高明教授らが、同大薬学研究科の富岡佳久教授らの研究グループ、静岡県立大学の伊藤邦彦教授らの研究グループとともに行った研究で、生体内の転移RNAが、酸化ストレスによって細胞がダメージを受けた際に構造変化を起こすこと、またその変化を検知することが新たなバイオマーカーとなることを発見したと発表した。


画像はプレスリリースより

生体内で生じる酸化ストレスは、細胞障害を引き起こして、さまざまな疾患の発現に関与することが知られている。だが、この酸化ストレスによるダメージを臨床的に早期検知することは、これまで困難とされてきた。

研究結果は同日、米国腎臓学会学術誌「Journal of the American Society of Nephrology」オンライン版に掲載されている。

酸化ストレスによりtRNAの高次構造が変化

今回研究グループは、tRNA内に特異的な構成成分のl-メチルアデノシンに着目し、細胞がストレスを受けたときの生体内におけるtRNAの変化を解析した。その結果、酸化ストレスを受けるとtRNAの高次構造が変化していることを発見した。

さらに、虚血状態や細胞毒性をもつ薬物投与などで酸化ストレスが生じ、細胞障害が起こるとtRNA由来の成分が増加することも見出したという。そして、これらtRNAの変化を検知することで、酸化ストレスによる生体組織ダメージを、既存の手法よりも早期に検知することに成功したという。

地域住民における解析で死亡率との関係も明らかに

研究グループは、すでにこの研究において岩手県花巻市大迫地区の一般地域住民1,000人を対象とした解析を実施し、血中の遊離l-メチルアデノシンレベルと死亡率との関係も明らかにしており、予後を反映する新たなバイオマーカーとしての有効性を示している。

今回の研究成果は、各種臓器の障害を早期に検知する新たなメカニズムに関する発見として注目されるものであり、今後臨床において、病気の早期発見や治療効果の判別などに貢献することが期待されている。(紫音 裕)

▼外部リンク

東北大学大学院医学系研究科/東北大学大学院医工学研究科 プレスリリース
http://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/

Journal of the American Society of Nephrology : Conformational Change in Transfer RNA is an Early Indicator of Acute Cellular Damage
http://jasn.asnjournals.org/content/early/2014/05/

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