注目される包括的脳卒中センターの役割
独立行政法人国立循環器病研究センターと九州大学は5月15日、九州大学大学院医学研究院・脳神経外科学分野の飯原弘二教授と国立循環器病研究センター・予防医学・疫学情報部の西村邦宏室長らの研究チームが、包括的脳卒中センター(Comprehensive Stroke Center:CSC)としての機能が高い施設での脳卒中の死亡率は26%低下することを明らかにしたと発表した。
画像はプレスリリースより
超高齢社会を迎えた日本では、年々増加する救急要請への対策が差し迫った課題となっている。欧米では脳卒中の治療施設を一次脳卒中センターと包括的脳卒中センターに分類し、いつでも高度な治療を行える包括的脳卒中センターの役割が注目されている。
今後、日本においてもこうした救急医療体制を整備していく上で、CSCとしての機能が脳卒中患者の予後に与える影響を知ることは重要であるが、これまで全国規模の調査は行われていなかったという。
26%の死亡率低下、後遺障害も減少
研究チームは、日本脳神経外科学会、日本神経学会、日本脳卒中学会に所属する1,369の教育訓練施設を対象に、アメリカ脳卒中学会が推奨するCSCの要件の充足率に関するアンケート調査を実施し、749の施設から回答を得た。回答をもとにCSCの要件の充足率を点数化したCSCスコアを作成し、DPC調査により登録した脳卒中症例53,170件との死亡率の関係を比較・検討した。
その結果、CSCスコアが上昇するにつれ有意な死亡率低下がみられ、上位20%の施設では下位施設に比較して26%もの死亡率低下がみられたという。後遺障害の減少についても同じような傾向がみられたとしている。
プレスリリースでは
と述べられている。(小林 周)
▼外部リンク
独立行政法人国立循環器病研究センター プレスリリース
http://www.ncvc.go.jp/pr/release/006483.html
九州大学 プレスリリース
http://www.kyushu-u.ac.jp/pressrelease/2014/2014_05_12_3.pdf
Effects of Comprehensive Stroke Care Capabilities on In-Hospital Mortality of Patients with Ischemic and Hemorrhagic Stroke: J-ASPECT Study
http://www.plosone.org/article/