健康・医療戦略推進法案は、世界最高水準の医療の提供に資する研究開発等により、健康長寿社会の形成に資することを目的としたもの。
具体的には、▽基礎から実用化までの一貫した研究開発の推進▽臨床研究等の研究環境の整備▽研究開発の公正・適正な実施▽成果の実用化のための審査体制の整備▽新産業の創出・海外展開の促進――などの施策を総合的、計画的に推進するため、総理大臣を本部長に全ての閣僚がメンバーとなる「健康・医療戦略推進本部」を設置し、研究開発の推進計画を策定するとしている。
医療研究開発機構法案では、独立行政法人「日本医療研究開発機構」を設立することを定めている。同機構では、推進本部が策定した医療分野研究開発推進計画に基づき、各省庁にまたがっている研究開発予算を一元的に管理して、研究機関に配分することなどを盛り込んでいる。
予算の一元化により、研究者は基礎段階から実用化まで切れ目なく、研究の進捗に応じた研究費が確保できるようにすることを見込む。
同機構には、役員は理事長と監事を2人、理事を1人置くことができるとした。理事長と監事の任命、中期目標の策定等に当たっては、健康・医療戦略推進本部の意見を聴くこととし、新独法に健康・医療戦略推進本部が関与することも規定した。
附帯決議には、国際共同治験にも対応できる臨床研究・治験の拠点整備に努め、臨床研究コーディネーターなどの人材育成を図ることや、臨床研究の不正防止に向け、日本医療研究開発機構が業務を通じた研究不正の防止に関するノウハウの蓄積や専門人材の育成に努めることを盛り込んだ。
また、機構の役員選任に当たっては、幅広い視点と中長期的な視点から公正な判断ができる人材の登用に努め、公募の選定を除き公務員OBを役員に選任することを認めないこと、法施行後5年以内に日本医療研究開発機構の組織のあり方を含め、法施行状況について検討を加え、その結果に基づき必要な措置を講ずることなどを求めた。