野木森氏は、就任のあいさつで、14の業態別団体、17の地域別団体を束ねる最大の製薬団体として、「個別テーマによっては、加盟団体間のみならず、個別企業間の共通利益を満たす意見の取りまとめは、至難の業と心得ている」と述べ、「製薬産業に対する国民からの期待に応えるために、業界の先頭に立って、諸課題の解決に向け努力していく」との抱負を語った。
その上で、安全で高品質な医薬品の安定供給の体制堅持が「製薬産業に課せられた使命」として、「全力で取り組んでいく」と表明。薬価制度改革の実現と研究開発税制の拡充については、「製薬産業の持続的な発展に不可欠な政策」と語り、政府との継続的な対話を通じて、政策提言を進める考えを示した。
臨床研究を取りまく一連の不祥事については、「社会から疑念を持たれる事態が発生している現状があり、大変遺憾に思う」と述べた。「法令、業界自主基準に照らして、個別企業の行動基準を見直し、産官学連携の取り組みがわが国のアカデミアの高い研究力を実用化する場となることを切望している」と期待した。
一方、製薬協会長に就任した多田氏は、総会後の記者会見で、疾病克服を目指した新規物質の発見、革新的新薬の創製に挑戦する姿勢を示し、「研究開発志向型企業としての使命を全体で共有したい」との方向性を語った。
また、「透明性に反する事例が起こり、慚愧の念に堪えない。各社がコンプライアンス順守を最重要課題に置くべき」と指摘。製薬協の対応については、「ガイドラインをつくり、自主規制を行うが、それを順守するのは各社の問題」と述べ、問題解決に向けては会員社の自主性を尊重すべきとの見解を語った。
ただ、「ある1社が(不適切な)行為を行うことで社会的批判を受け、全体に波及することを各社が認識しないといけない」との基本的な立場を述べ、高い倫理性・透明性を確保するための行動を要請していく考えを示した。
副会長人事は次の通り。
日薬連:多田正世氏、中山讓治氏(第一三共社長)、黒川明氏(参天製薬社長)
製薬協:畑中好彦氏(アステラス製薬社長)、内藤晴夫氏(エーザイ社長)、手代木功氏(塩野義製薬社長)、中山讓治氏、長谷川閑史氏(武田薬品社長)。このほか、川原章氏を専務理事に選任、理事長・常務理事は全て留任となった。