睡眠障害のひとつであるナルコレプシー
名古屋大学は5月7日、同大学環境医学研究所ストレス受容・応答研究部門 神経系分野IIの山中章弘教授らの研究グループが、睡眠障害のひとつであるナルコレプシーの新たなモデルマウスの作製に成功し、新たな治療薬の作用を確認したと発表した。
画像はプレスリリースより
この成果はSRI InternationalのKilduff博士との共同研究によるもので、英国時間5月7日付のThe Journal of Neuroscience、電子ジャーナル「Published by the Society for Neuroscience」に2報連続で掲載された。
任意でオレキシン神経だけを除去できるモデルマウス
ナルコレプシーは脳内の視床下部に存在する神経ペプチドであるオレキシンを産生するオレキシン神経が何らかの原因で脱落することが原因とされている。確定診断まで平均でも10年かかり、発症初期からの症状変化を調べることはできなかった。日本でのナルコレプシーの有病率は600人に1人とされ、日中の耐え難い眠気、睡眠覚醒の分断化、入眠時幻覚、情動脱力発作が症状となる。
研究グループは今回、任意のタイミングでオレキシン神経だけを除去できるモデルマウスの作製に成功。残存するオレキシン神経細胞数とナルコレプシーの各症状発現の関係を調べ、オレキシン神経の85%を除去したマウスで睡眠覚醒の分断化が、約95%を除去したマウスで情動脱力発作が見られることを見いだしたという。
また、このモデルマウスで筋痙縮の治療に用いられているR-バクロフェンの治療効果を評価したところ、現在、ナルコレプシー治療に使用されているGHB(γ-ヒドロキシブチレート)よりも良い成績が得られ、新たな治療薬として有望であることも判明したとしている。(小林 周)
▼外部リンク
名古屋大学 プレスリリース
http://www.nagoya-u.ac.jp/about-nu/public-relations/researc