政府のIT総合戦略本部のマイナンバー等分科会は16日、社会保障・税番号制度について、医療情報の管理や分析といった利用範囲の拡大に向けた検討を進めるべきとの提言を中間的にまとめた。個人情報保護に配慮しつつ、想定される利用のあり方や期待される効果等の検討を進め、秋頃をメドに政府に報告する。
政府は、2020年までに世界最高水準のIT利活用社会の実現を目標に掲げている。マイナンバー制度の導入については、15年10月の市町村等によるマイナンバー等の付番と通知、16年1月からの住民申請に基づく市町村による個人番号カードの交付、マイナンバー等の利用開始、17年1月のマイポータルの運用開始が予定されており、システム面・制度面の整備が進められている。
ただ、マイナンバーについては、個人情報保護への配慮から、現行法で利用範囲が社会保障等の行政事務に必要な範囲に限られ、その他の目的では利用できないこととなっている。こうした中、分科会は中間まとめで、公共性が高くマイナンバーを利用した情報連携等により、さらなるメリットが期待される取り組みについては、利用範囲の拡大の実現に向け具体的な検討を進めるべきと提言した。
その中で、医療に関する事務の効率化や医療情報の管理、蓄積、分析等に関する事務について、マイナンバーの利用範囲への追加や制度基盤の活用を挙げた。
今後、個人情報保護に配慮しつつ、関係者の理解と協力を得た上で、内閣官房と関係府省が連携し、地方公共団体や民間の意見も踏まえ想定される利用のあり方、期待される効果や制度・運用面の課題など、積極的に検討を進め、秋頃をメドに検討状況を政府に報告するよう求めている。