動物を利用したセラピー「動物介在療法」は、これまで主に子どもたちに対して用いられてきました。犬や猫などの身近なペットやイルカなど、様々な動物が癒しを与えてくれるとされています。
今回、認知症のお年寄りに対して、馬を使ったセラピーを行ったところ、効果的であることがアメリカのオハイオ州立大学らの研究によって認められました。
画像はWikiメディアより引用 by ThereseA
オハイオ州のデイケアセンターに通っている男性7名、女性9名、計16人のお年寄りがこの調査に参加しました。16人全員がアルツハイマー型認知症の診断を受けていました。
このうち8人のお年寄りは、通常と同じようにデイケアで過ごしてもらい、残りの8人は週に一度、農場に出かけてえさをやったり、体を洗ったりといった、馬の世話をしてもらいました。
すると、馬とふれあった人たちの間では感情を爆発させたり、気分が沈んだり、ケアを拒否したりといった認知症の症状が、明らかに改善したことが分かりました。前日の出来事を振り返っても、覚えていないことがほとんどというお年寄りでも、馬の世話をしたことは、翌日になっても鮮明に覚えていることもあったそうです。
調査が終了しても、お年寄りや家族が希望して、継続的に農場に通うようにしたケースもあったとのこと。専門家は、馬とのふれあいもさることながら、農場の自然にあふれた環境もプラスに働いたのではないかと解釈しています。
馬となると身近にいないという人が多いとは思いますが、お年寄りと自然の中を散歩したり、ペットの世話を一緒に行ったりすることで、いつもとは違う癒し効果を発見できるかもしれませんね。(唐土 ミツル)
▼外部リンク
Caring for Horses Eases Symptoms of Dementia
http://www.news.osu.edu/news/2014/05/05/
Equine-Assisted Intervention for People with Dementia
http://www.ingentaconnect.com/