日本の再生医療周辺産業をめぐっては、自動培養装置等の技術、製品の強み、再生医療新法による細胞加工委託等の機会がある一方、培地や試薬等の消耗品でシェアが低い弱みがあり、国際標準化の動きも欧米先行の恐れが指摘されている。
実際、再生医療に使用される関連機器・試薬類のうち、日本製の自動培養装置の割合が75%に上る強みを持っていることから、経産省の検討委員会は、関連企業が集結する「再生医療イノベーションフォーラム」を中心に進める機器間、消耗品等の標準化に向けた道筋を示したところ。
官民戦略では、まず体制整備として、日本規格協会が国内標準(JIS)や国際標準(ISO/IEC)に対し、国際標準の原案を策定できる総合的な仕組み「新市場創造型標準化制度」を構築することを政府に求めた。
また産業界は、各企業が自社技術や製品に関する協調領域、競争領域を見極めた最適な標準化戦略を進めるため、標準化の全社的な戦略推進等を担う最高標準化責任者の設置等によって体制を強化し、標準化を推進すると共に、政府と協力して関係団体が企業の経営責任者に戦略的な標準化の重要性を啓発する活動を継続的に行うとした。
世界に通用する認証基盤の強化も打ち出した。日本企業の海外戦略の観点から戦略的に重要な分野について、認証結果が国際的に認められる認証基盤を国内に整備するとした。その中で再生医療の認証基盤については、標準化の進展、市場の成長等を踏まえながら、官民が連携して随時整備を進めるとしている。
さらに、アジア諸国との連携も進める。政府は各国の国家規格の開発、標準化人材の育成、認証基盤の整備に対する支援、国際標準の共同開発等の分野で協力関係を強化するほか、官民が連携し、各国政府や公的機関との協力関係を円滑に構築するため、関係団体を日本工業標準調査会(JISC)の一員として標準の普及団体として位置づける仕組み等も作っていく方針を提示した。
これら戦略のフォローアップを行うため、標準化官民戦略会議のもとに官民各機関の代表者で構成する幹事会を設置し、必要に応じて戦略会議を開催する。