武田薬品の医療用医薬品事業売上高は、前期比9・1%増の1兆5291億円。グローバル主要品では2型糖尿病治療薬「ピオグリタゾン」が70%減、高血圧症治療薬「カンデサルタン」が8%減となったものの、他の製品は売上増と堅調だった。
国内は高血圧症治療剤「アジルバ」など新製品が伸びたが、主力品の売上減で1%減。海外は消化性潰瘍治療剤「パントプラゾール」、米国は多発性骨髄腫治療剤「ベルケイド」や逆流性食道炎治療剤「デクスラント」、買収したURLファーマから獲得した痛風・高尿酸血症治療剤「コルクリス」の増収効果もあり、16%増の二桁増収となった。
アステラス製薬は、グローバル製品の過活動膀胱治療薬「ベシケア」、免疫抑制剤「プログラフ」、排尿障害薬「ハルナール」が二桁増と好調だった。過活動膀胱治療薬「ミラベグロン」が4倍増、抗癌剤「エクスタンディ」が3・6倍増と新製品も増収に貢献した。
国内は、主力品の高脂血症薬「リピトール」や高血圧治療薬「ミカルディス」などの落ち込みを、ミラベグロンが2倍増と吸収し、横ばいの5356億円。海外は、34%増の6224億円だった。
第一三共は、国内でプロトンポンプ阻害剤(PPI)「ネキシウム」が2・5倍の542億円、アルツハイマー型認知症(AD)治療薬「メマリー」も40%増と新薬群が好調だった。ワクチンを含めた日本カンパニー事業は、6・7%増の4865億円と、国内売上の伸び率は大手5社で最も大きかった。グローバル製品の高血圧治療薬「オルメサルタン」は売上高3000億円を突破した。
大塚は、21%の二桁成長と躍進した。抗精神病治療薬「エビリファイ」が国内外で伸び、31%増の5757億円と牽引。10年度以降に発売した国内新薬7品目が売上600億円を超え、売上全体比率の17%までに成長した。
12年度に二桁減収となったエーザイは、増収を確保。主力のAD治療薬「アリセプト」が日本でGE薬の影響を受け12%減、PPI「パリエット/アシフェックス」は米国特許切れが響き、16%減と売上を減らした一方、抗癌剤「ハラヴェン」や疼痛治療剤「リリカ」、関節リウマチ治療薬「ヒュミラ」が拡大した。国内では、子会社「エルメッド・エーザイ」によるGE薬事業の伸長で微増となった。
一方、利益面では、増収に支えられ営業増益での着地となった。唯一の営業減益となったアステラスも、事業再編費用などを除外した営業利益コアベースでは10%増の二桁増益となっている。
15年3月期は、武田薬品が、大型品の減収を新製品と新興国でカバーし増収営業増益を計画。アステラスが、癌・泌尿器領域が順調に推移する見込みで増収増益、第一三共が、ランバクシーが印サンファーマとの合併で連結対象から外れ、売上は9200億円に転落するが、ランバクシーを含まない業績予想では増収増益を見込む。エーザイが、パリエットの米国特許切れと主力品の薬価引き下げ、大型積極投資の影響で減収減益。エビリファイと国内新薬が伸長する大塚は増収を予想する。
表:国内製薬大手5社の2014年3月期決算