心筋梗塞などの発症危険度を予測
国立循環器病研究センターは5月7日、同センター予防医学・疫学情報部の西村邦宏室長らの研究チームが、心筋梗塞など冠動脈疾患の発症危険度を予測する新しいリスクスコアを開発したことを発表した。
研究成果は、専門誌「Journal of Atherosclerosis and Thrombosis」オンライン版に3月25日付で掲載された。
(画像はプレスリリースより)
日本人の心筋梗塞発症リスクは欧米人に比べると非常に低いため、欧米で用いられてきたフラミンガムリスクスコア(FRS)は日本人には不正確であると考えられるものの、妥当性は検討されてこなかった。
また、慢性腎臓病(CKD)はFRSでは検討されておらず、CKD患者にFRSを適用すると冠動脈疾患発症リスクが過小評価されることが知られている。
リスクスコアにCKDを含み、より正確な予想が可能に
今回の研究では、心筋梗塞をはじめとする心臓病リスクの高い都市部住民5,866人を対象に、CKDを含むさまざまな危険因子を組み合わせて冠動脈疾患の発症危険度を予測するリスクスコアを開発。
妥当性をFRSと比較検討した結果、FRSには発症確率を過大評価する傾向(最大約14%)がみられたが、開発された吹田スコアは実際の発症確率とほぼ同様に予測したという。また、純再分類改善度(NRI)で43%の予測精度向上が認められたとしている。
プレスリリースでは
現行のガイドラインにも沿った吹田スコアはより正確に冠動脈疾患の発症を予測できるので、今後は冠動脈疾患の予防に役立つと期待されます。(国立循環器病研究センター プレスリリースより引用)
と述べられている。(小林 周)
▼外部リンク
国立循環器病研究センター プレスリリース
http://www.ncvc.go.jp/pr/release/