2009年と2010年のデータを追加
独立行政法人国立がん研究センターは5月7日、日本で新たにがんと診断された人数の唯一の統計となる「全国がん罹患モニタリング集計」の最新データを、がん情報の総合サイト「がん情報サービス」にて発表した。最新データには、すでに公開している2008年までの集計に、2009年と2010年の2年分を追加。各種がんの推計罹患数や罹患率を、性別、年代別など詳細に見ることができるという。
画像はプレスリリースより
発表によると、1年間に診断されたがん症例の罹患推計数は、2009年77.6万人、2010年80.5万人。また、2010年の部位別罹患数は、男性では胃、肺、大腸、前立腺、肝および肝内胆管の順で多く、女性では乳房、大腸、胃、肺、子宮の順で多い。男性は2005年より、女性は2003年より順位の変化はみられなかった。
「がん登録推進法」による実測数値に期待
がんの研究、対策を進めていく上では死亡動向と合わせ、罹患者の実数把握が不可欠だが、死亡動向は人口動態統計により把握されているものの、罹患については、いずれの疾患においても実測数値がないのが現状である。また、全国がん罹患モニタリング集計は、2003年から2013年まで実施された厚生労働省の罹患データが基になっているが、今回の2010年集計では、約半数は未だ実態把握できていない状態であるという。
2013年12月6日には「がん登録推進法」が可決され、2016年より施行、登録事業が義務化される。これにより、登録事業が義務化され、全国集計が実現されると推計ではなく、実数把握ができるようになる。
今後は、登録ルールの標準化と精度の維持が課題となるが、罹患時の詳細なデータは、これからのがん対策・研究に大きく貢献することとなるだろう。(白井蓮)
▼外部リンク
独立行政法人 国立がん研究センター プレスリリース
http://www.ncc.go.jp/jp/press_release_20140507.html
がん情報サービス 最新がん統計
http://ganjoho.jp/public/statistics/pub/