両剤は、催奇形性を有するため、胎児への曝露を回避する観点から、製造や販売、流通に関する安全基準が定められている。また、患者や薬剤管理者に対しても企業の情報センターへの登録を必須とし、患者本人やパートナーに対して妊娠回避の徹底を求めるなど、厳格な安全管理体制のもとで処方されている。
ただ、こうした安全管理は、患者や医療従事者の負担になっているのではとの指摘もあり、同検討会では安全管理手順を見直す方向性を確認していた。
厚労省の改訂案では、初回患者登録時に行う▽患者および薬剤管理者への催奇形性、管理手順等に関する事前教育▽患者および薬剤管理者の管理手順の理解と遵守に関する同意取得▽患者区分の確認▽妊娠する可能性のある女性患者への妊娠検査の実施または性交渉をしていないことの確認▽患者カードの交付▽製造販売業者(企業)への患者登録――の手続きは、これまでと同様に行うこととした。
このうち、企業への登録について、これまで行っていた薬剤管理者の登録を不要とし、患者のみを対象とするよう見直した。ただ、必要に応じて医療機関から企業に情報提供することを別途規定するとした。
また、薬剤管理者の設置は、患者本人が確実に薬剤を管理できることを処方医が確認した場合に限り、省略できるようにする。
現行の企業への登録では、これまでが必須だった氏名、住所、生年月日、患者区分、疾患名などの情報を、▽生年月日▽患者区分▽疾患名――の3点に限定する案を示した。
ただ、登録する情報が少なくなると、全ての条件に合致した患者が複数出てくる確率が高まり、重複登録になっていないかどうかの確認が必要になるケースも想定される。患者の個人名や住所などが登録されていれば、重複登録が確認でき、委員からは、生年月日と患者区分が重なった場合にどう対応するかなどの課題が示された。
毎処方時に行う手続きでは、診察時に処方医が患者の管理手順に対する理解や、順守状況を確かめてから確認票に記入する案と、診察前に一定の頻度で順守状況確認票を患者に渡し、自身の遵守状況をチェックしてもらい、診察時に医師がその内容を確認し、必要な説明を行う案を示した。