桃井部会長は、昨年1月に栃木県の那須郡市区医師会の生涯教育講演会で講演した際に、HPVワクチンの「ガーダシル」を製造販売するMSDから11万円の講演料を受け取ったが、今月になって再確認したところ、講演料が医師会からではなく共催のMSDから支払われていたことが判明し、修正報告を行った。
HPVワクチン「サーバリックス」を製造販売するグラクソ・スミスクライン(GSK)から講演料として約80万円を受け取っていた薗部友良委員(育良クリニック小児科顧問)は、申告対象期間外の2010年度以前と認識していたため、申告しなかったが、11年度に依頼されていたとして修正している。
薗部委員は、他の企業から50万円超500万円以下の講演料等を受け取っており、既に議決権を失っていたため、今回の申告漏れは議決の結果に影響を及ぼしていないという。
MSDから16万円を受け取っていた稲松孝思委員(東京都健康長寿医療センター顧問)、GSKから5万円を受け取っていた熊田聡子委員(都立神経病院神経小児科医長)は、講演料の受け取りを遅れて申告した。
部会の参加規程では、ワクチン製造販売業者からの寄付金などを申告することになっており、50万円超500万円以下の寄付金などを受け取った場合、そのワクチンに関する議決に加われない。
厚労省は今後、委員に対して、講演料などの申告すべき内容、その他、参加規定の詳細について改めて周知すると共に、委員に対して寄附金・契約金等の受け取りについて照会する際は、受け取った時期を合わせて照会するとしている。
■金銭支払の情報公開を‐薬害オンブズ会議
この問題を受け、薬害オンブズパースン会議は、製薬企業などに対して、医師等への金銭等の支払情報の公開を義務づける法律の制定などを求める要望書を田村憲久厚生労働相に提出した。
同会議は、「不申告が相次いでいることは自主申告の限界を示している」と指摘し、日本製薬工業協会が導入している「透明性ガイドライン」を強化すると共に、米国の医療改革法の条項にならい、公開を義務とする法律の制定を提案した。
また、HPVワクチンについて審議する厚科審予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会と、薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会の合同部会の委員構成の見直しも要望。
合同部会の委員15人のうち、MSDとGSKと利益相反を持つ委員が11人と多く、利益相反のルールによって議決に参加できない委員が3人もいる点などを指摘し、「合同部会の公正さに疑問を持たれても仕方ない。委員構成を見直すべき」とした。
08年に導入された利益相反の管理ルールについても、「5年を経て、いよいよ問題性が明らかになった」とし、ルールの運用実態の調査と参加規定の見直しを求めた。