専門薬剤師制度をめぐっては、学会等の団体が独自の認定基準を設定しているため統一性に欠け、質の担保に懸念が示されてきた。広く社会に認められるべき専門薬剤師制度が、社会の要請とかけ離れた形で制度が乱立することも危惧されている。
実際、2008年に日本学術会議は、「専門薬剤師の質の保証には、第三者評価機関により保証された研修・認定の仕組みが不可欠」と提言している。
こうした中、研究班は、専門薬剤師制度が社会的に信頼を得るためには、専門薬剤師の位置づけや目指すべき姿を示して質を担保することが不可欠と判断。分担研究として、第三者評価機関の認証を前提に専門薬剤師制度の整備指針をまとめた。
指針は、既に専門薬剤師制度を実施、あるいは新たに立ち上げる学会等の団体が整備すべき基本的事項を示したもの。専門薬剤師を認定しようとする機関の要件としては、公正・中立な第三者評価機関による専門薬剤師認定制度の評価、認証を得ることとし、専門薬剤師を与える機関は、学会等の団体で営利目的でない法人格を持つことを求めている。
指針では、専門薬剤師について「特定の専門領域の疾患と薬物療法についての十分な知識と技術ならびに経験を生かし、医療スタッフの協働・連携によるチーム医療において質の高い薬剤師業務を実践すると共に、その領域で指導的役割を果たし、研究活動も行うことができる能力を有することが認められた者」と初めて定義した。
専門薬剤師制度の概要として、制度の目的や構想、運営体制や更新要件、基準等の諸規定等を記載するよう求めている。特に研修カリキュラムと研修プログラムの整備を重視。学会や団体等は、研修カリキュラムと方策を構築、提示し、研修認定施設はそのカリキュラムに沿って具体的な研修プログラムを作成することとした。これにより、養成を目指す専門薬剤師像を明示するよう求めている。
その上で、研修カリキュラムとプログラムを整備する。専門薬剤師制度がそれぞれ目標とする専門薬剤師像を実現するため、研修の到達目標を設定する。記載すべき事項に研修目標等を位置づけ、到達目標として一般目標、行動目標を明示し、年次ごとにステップアップできる仕組みとするよう求めた。
現状では、研修プログラムが十分に整備されているか把握されていないことから、共通目標を設定することで質の担保を図る。今後、研修プログラムの整備指針についても定める予定。