トラスツズマブのチューブリン重合阻害剤DM1による複合体
中外製薬株式会社は4月17日、「カドサイラ(R)点滴静注用100mg、同160mg(一般名:トラスツズマブ エムタンシン(遺伝子組換え)注)」をHER2陽性の手術不能又は再発乳がんを効能・効果として、4月18日から発売すると発表した。
(画像はプレスリリースより)
同剤は、F.ホフマン・ラ・ロシュ社の抗HER2ヒト化モノクローナル抗体であるトラスツズマブに、細胞傷害性を有するチューブリン重合阻害剤DM1を安定したリンカーにより結合させた抗体薬物複合体。米国では既治療のHER2陽性転移性乳がんを対象として、2013年2月に承認され、欧州でも2013年11月に同効能・効果にて承認されている。
実施中の臨床試験は終了へ
乳がん患者の約20%がHER2陽性と診断されている。HER2陽性乳がんでは、がん細胞表面にHER2タンパクが過剰に発現し、がんの増殖シグナルを細胞内に伝達すると考えられている。
同剤は、このHER2タンパクを標的とするように設計されている。トラスツズマブによるHER2シグナル伝達の阻害と抗体依存性細胞傷害作用を発揮するとともに、チューブリン重合阻害剤DM1を直接HER2陽性のがん細胞の内部に送達。これらのがん細胞を破壊するという。
2013年9月の承認取得以降のカドサイラによる治療機会の提供については、2014年1月より、国内臨床情報の集積等を目的とした臨床試験が行われていたが、目標症例数にほぼ達したこと、発売により多くの患者の日常診療での使用が可能となったことから、実施中の臨床試験を終了。順次、得られたデータの取りまとめを行う予定としている。(木村 彰男)
▼外部リンク
中外製薬株式会社 プレスリリース
http://www.chugai-pharm.co.jp/hc/ss/news/detail/