アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤の血管外漏出による組織障害を抑制
キッセイ薬品工業株式会社は4月17日、「サビーン(R)点滴静注用500mg」(一般名:デクスラゾキサン)の発売を開始したと発表した。同剤は、アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤の血管外漏出による組織障害を抑制する治療薬。アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤の血管外漏出治療剤としては、日本で初めて承認されていた。
(画像はニュースリリースより)
同剤は、厚生労働省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において、医療上の必要性が高い薬剤と評価され、開発企業の公募が行われた。キッセイ薬品工業は、この公募に応じ同剤の開発に着手。一般社団法人 未承認薬等開発支援センターの助成を受け、2013年1月に製造販売承認を申請し、2014年1月17日に承認を取得した。
唯一の薬剤として世界32カ国で流通
がん治療を受けている患者は、化学療法等によって発生する血管の脆弱化や循環障害などで、静脈内投与される抗悪性腫瘍剤が血管外に漏出しやすくなる。中でもアントラサイクリン系の抗悪性腫瘍剤は、少量でも血管外に漏出すると発赤、腫脹や疼痛がもたらされ、進行すると皮膚の壊死や難治性の潰瘍にいたる可能性がある。
そのため薬剤が血管外に漏出した場合は、可能な限り早い段階で適切な処置を行うことが重要とされている。同剤は、アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤の血管外漏出による組織障害を抑制する唯一の薬剤として、欧米32ヵ国(2014年1月時点)で承認され、欧州では「Savene(R)」、米国では製品名「Totect(R)」という販売名で使用されている。(QLifePro編集部)
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