ロシュ社のコンパニオン診断薬と同時承認を目指す
中外製薬株式会社は4月9日、BRAFV600遺伝子変異を有する悪性黒色腫を対象として開発を進めていた選択性経口BRAFキナーゼ阻害剤「ベムラフェニブ(開発コード:RG7204)」の製造販売承認申請を厚生労働省に対して行ったと発表した。
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また、これに先立ちロシュ・ダイアグノスティックス株式会社は3月14日、ベムラフェニブのコンパニオン診断薬として、BRAF遺伝子変異を検出する体外診断用医薬品(海外製品名:cobas(R)4800 BRAF V600 Mutation Test)の製造販売承認申請を厚生労働省に行い、ベムラフェニブとの同時承認を目指しているという。
海外第3相臨床試験および国内第1/2相臨床試験の成績に基づく申請
ベムラフェニブの申請は、海外で行われた第3相臨床試験「NO25026試験(BRIM3試験)」および国内の第1/2相臨床試験「JO28178試験」の成績に基づくもの。BRIM3試験はcobas 4800 BRAF V600 Mutation Testを用い、BRAFV600遺伝子変異陽性と診断された化学療法歴のない転移性悪性黒色腫の患者675例を対象として、悪性黒色腫の標準治療薬のダカルバジンを投与する群とベムラフェニブを投与する群の比較試験として実施された。
その結果、ベムラフェニブ群では死亡リスクが63%減少(ハザード比0.37;p<0.001)。病勢進行または死亡(無増悪生存期間:PFS)リスクもベムラフェニブ群で74%減少(ハザード比0.26;p<0.001)し、PFS中央値は対照群の1.6カ月に対して、ベムラフェニブ群では5.3カ月となり、3.7カ月の延長が認められたとしている。
JO28178試験は、BRAFV600遺伝子変異陽性と診断された治癒切除不能・再発悪性黒色腫の患者11例を対象としてcobas 4800 BRAF V600 Mutation Test を用いて行われた。第1相では初期安全性、第2相では有効性および安全性が検討された。その結果、日本人の悪性黒色腫患者における、ベムラフェニブの有効性と忍容性が確認されたとしている。
F.ホフマン・ラ・ロシュ社とPlexxikon社が共同開発
ベムラフェニブは、第一三共グループのPlexxikon社が創製した、がんの成長を促進させるBRAF蛋白の変異型を選択的に阻害する低分子の経口BRAFキナーゼ阻害剤。海外では2006年に締結されたF.ホフマン・ラ・ロシュ社とPlexxikon社のライセンスおよび業務提携契約に基づき、共同開発が開始された。米国では2011年、欧州では2012年に成人におけるBRAFV600遺伝子変異を有する治癒切除不能、または転移性悪性黒色腫に対する治療薬として承認されている。
国内では、中外製薬が2011年にロシュ社と導入契約を締結。日本における独占的開発・販売の実施権を許諾されている。(QLifePro編集部)
▼外部リンク
中外製薬株式会社 プレスリリース
http://www.chugai-pharm.co.jp/hc/ss/news/detail/