昭和59年から続く、4つ目の戦略
厚生労働省は4月2日、「がん研究10か年戦略」を発表した。これは平成24年6月に閣議決定された「がん対策推進基本計画」に基づき、国全体で推進するがん研究のあるべき方向性と具体的な研究事項等をまとめたもの。同戦略を柱に、がん研究の総合的かつ計画的な推進に取り組んでいくことを確認したとしている。
(この画像はイメージです)
日本のがん対策は、基礎となるがん研究を中心に進められており、昭和59年度から「対がん10カ年総合戦略」、平成6年度から「がん克服新10か年戦略」が推進され、平成16年度からは「第3次対がん10か年総合戦略が推進されており、平成25年度で最終年度を迎えていた。
患者、家族のライフステージに合わせた治療の実現を
「がん研究10か年戦略」の目標は、患者・社会と協働した研究を総合的かつ計画的に推進することにより、がんの根治、がんの予防、がんとの共生をより一層実現し、「基本計画」の全体目標を達成すること、とされている。
同戦略に基づいて行われる研究は、これまでの取り組みで進めてきた根治を目指す治療法に加え、がん患者と家族のニーズが重要視されるという。小児、労働世代、高齢者など患者のライフステージや個々のがんが持つ特性によって、患者とその家族のニーズが異なるため、それぞれのニーズが治療によってどの適度満たされているかを社会全体で共有することが求められるとしている。
適切な情報に基づいた療養生活を送れる社会の構築
また、同戦略では、患者や家族側が正しい知識を持つことで、自身や家族ががんになったとしても適切な情報に基づいた療養生活をできる社会を構築する、と述べられている。
そのために今後は、がん登録データをはじめとするがんに係わる情報を最大限に活用。がんに関する詳細な現状分析を行い、国民ががんの統計や予防、早期発見、診断などに対する正しい知識を持ち、がんを自分に係わる事として認識してもらえるようにするという。この考えは、研究者の間でも共有し、がん研究を進めていくとしている。(QLifePro編集部)
▼外部リンク
厚生労働省 プレスリリース
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/