長時間労働の改善は依然みられず
医療従事者向け臨床医学情報専門サイト「CareNet.com」を運営する株式会社ケアネットは4月7日、当直勤務のある医師会員1,000人に対して実施した「当直勤務に関する意識調査」の結果を公表した。
(画像はプレスリリースより)
同調査は、「CareNet.com」登録医師会員を対象に、3月21日に実施したもの。回答医師の年代は、20代5.8%、30代22.4%、40代38.6%、50代27.0%、60代以上6.2%となっている。勤務先は大学病院が18.7%、その他病院が81.3%で、インターネット調査により回答を求めた。
まず、回答医師全体の平均当直回数は、1カ月で3.5回、当直中の平均睡眠時間は約4時間34分だった。年代別では、やはり若年層ほど当直回数が多く、当直中の睡眠時間も短い結果となっている。大学病院とその他の病院では、大学病院のほうが当直回数が多いという。
また、当直前後の勤務体系だが、当直前は98.3%、当直後は83.3%が通常勤務をしていると回答。ほとんどの医師が当直時には32時間以上の連続勤務をしていることとなり、医師の長時間過重労働問題が改善されていないことを示す結果となった。
当直が原因とみられるヒヤリ・ハットも約35%が経験
当直明けの勤務中に、当直による睡眠不足や疲労が原因と思われるヒヤリ・ハット事例の経験があるかどうかとの問いには、34.9%の医師が「ある」と回答。「ある」と答えた医師のほうが、「ない」とした医師よりも当直回数が多く、当直中の睡眠時間も少ない傾向がみられた。
ヒヤリ・ハットの内容としては、薬剤名や量などといった「薬剤処方のミス」が最も多く、そのほかにも「診察中や手術中に眠ってしまった」、「患者を間違え、指示を出した」、「針刺し事故」といった回答もあり、一歩間違えば深刻な医療事故につながりうる実態があることも明らかになった。
当直や勤務体系についての意識として自由コメントを求めた部分では、「当直明けはつらい」、「当直明けは休みにしてほしい」、「せめて半日だけでも休めるようにしてほしい」、「診療の質を維持するためにも一定の休息が必要」といった声が多数寄せられている。一方で、「代わりがいない」、「人員不足で仕方がない」、「経営上やむを得ない」など、現状ではこうした無理のある勤務にも頼らざるを得ない状況にあることを感じている声もあがっている。(紫音 裕)
▼外部リンク
株式会社ケアネット ニュースリリース
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