排他的に分化が起こる仕組みを解明
京都大学は4月4日、筋分化と脂肪分化が排他的に行われる仕組みを解明したことを発表した。この研究成果は、生命科学研究科の西田栄介教授、砂留一範博士研究員らによるもので、米科学誌「Molecular Cell」に掲載された。
(画像はプレスリリースより)
同研究グループは、筋分化のマスター制御因子MyoDと、脂肪分化のマスター制御因子であるPPARγが拮抗的に作用することにより、筋肉細胞と脂肪細胞の両方の特徴を併せ持つハイブリッド細胞の生成が細胞自律的に抑制されていることを見いだしたとされる。
さらに、MyoDとPPARγはそれぞれ互いの分化プログラムを、異なるメカニズムを介して抑制していることを明らかにしたという。
肥満や再生医療などの治療応用に期待
筋肉細胞と脂肪細胞は発生的には近縁の細胞でありながら、全く異なる性質を持っている。分化過程において細胞の運命は排他的に決定され、個性が維持されることがわかっていたが、その仕組みは明らかにされていなかった。
プレスリリースではこの研究について
細胞の個性を維持するメカニズムに重要な知見を与えるものであり、肥満や、再生医療などの治療応用が期待されます。(京都大学 プレスリリースより引用)
と述べられている。(小林 周)
▼外部リンク
京都大学 プレスリリース
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2013_1/
Antagonism between the Master Regulators of Differentiation Ensures the Discreteness and Robustness of Cell Fates
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/