会議は、一般薬の新たな販売ルールを規定した改正薬事法が6月12日に施行され、一般薬の大半がインターネットで販売できるようになることを受け、ネット上で偽造医薬品や脱法ドラッグなどの販売が拡散することを防ぐため、医師や薬剤師、都道府県の薬事監視担当者、製薬企業関係者などに意見を求め、厚労省の施策に役立てることを目的としている。
会議では、木村和子委員(金沢大学医薬保健研究域薬学系国際保健薬学教授)が、偽造医薬品がまん延している海外では、偽造薬を服用したとみられる人が死亡するなどの健康被害が出ていることや、国内でもネットを介した個人輸入などによって偽造医薬品が出回っていることを報告。
その上で、「日本も偽造医薬品禍を免れていない」とし、海外から医薬品を輸入するに当たっては、国内の正規の医療提供施設から専門家の助言のもとで行うべきとの考えを示した。
また、厚労省医薬食品局監視指導・麻薬対策課が偽造医薬品と指定薬物に対する取り組みを紹介。今月から米国の業者に委託し、国内外の販売サイトに対する能動監視を始めたことや、個人輸入・指定薬物に関する情報提供・啓発ホームページの開設、ホットラインの設置を行ったことなどを報告した。
意見交換では、「糖尿病治療薬を飲んでいれば、甘いものを好きなだけ食べていいと思っている人もいる。国民の薬に対する知識が不足しているのでは」(木村委員)、「日本人の教育レベルは高いが、薬に関する教育は十分とは言えない」(矢野昌彦委員・三菱UFJリサーチ&コンサルティング)など、教育啓発を行うべきとの声が相次いだ。
片木美穂委員(卵巣がん体験者の会スマイリー代表)は、教育啓発と並行して、ネットを介した個人輸入などによって偽造医薬品が国内に流入しないような対策や、本当に医薬品を必要とする患者が正規のルートでアクセスできる制度の構築が必要と指摘した。
生出泉太郎委員(日本薬剤師会副会長)は、国が予算を確保して大がかりな教育啓発を行うことを求めると共に、薬物乱用の低年齢化が懸念されていることを踏まえ、これまで以上に学校薬剤師を活用し、学校教育の中で注意喚起を行うことを提案した。
厚労省は、同会議について、「年に2~3回程度開きたい」としており、2回目の会合は秋ごろをメドに開く予定。