大阪市立大学、関西福祉科学大学と共同で
独立行政法人理化学研究所と大阪市立大学、関西福祉科学大学は4月4日、慢性疲労症候群と脳内炎症(CFS/ME)に相関性があることを解明したと発表した。
(画像はプレスリリースより)
これは、理研ライフサイエンス技術基盤研究センター健康・病態科学研究チームの渡辺恭良チームリーダー、水野敬研究員らと、大阪市立大学大学院医学研究科代謝内分泌病態内科学疲労クリニカルセンターの中富康仁博士(現 ナカトミファティーグケアクリニック院長)、稲葉雅章教授、同研究科システム神経科学の田中雅彰講師、石井聡病院講師、関西福祉科学大学健康福祉学部の倉恒弘彦教授らによる共同研究グループの成果。
症状の強さと脳内炎症の生じた部位に相関性
CFS/MEは、原因不明の疲労や倦怠感が6カ月以上続く病気。感染症や過度の生活ストレスなど、複合的な要因が引き金になり疲れが取れない状態に脳が陥ることにより発症すると推測されている。しかし、その発症メカニズムは分かっておらず、治療法も確立されていない。これまでに仮説の1つとして、脳内炎症の関与が示唆されていたが、証明されていなかった。
今回、共同研究チームは陽電子放射断層画像法(PET)を用いて、脳内における神経炎症に関わる免疫担当細胞であるマイクログリアやアストロサイトの活性化を観察。その結果、CFS/MEの患者の脳内で広い炎症を生じていること、それぞれの患者の症状と炎症を生じている部位に相関性があることを確認したという。
さらに、それぞれの患者の症状の強さと脳内炎症の生じた部位の関係性を調べたところ、扁桃体と視床、中脳と認知機能、帯状皮質と扁桃体は頭痛や筋肉痛などの痛みに、そして海馬は抑うつ症状と相関することが判明したとしている。
プレスリリースでは
と述べられている。(小林 周)
▼外部リンク
独立行政法人理化学研究所 プレスリリース
http://www.riken.jp/pr/press/2014/20140404_1/